「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.64

シャトー・メルシャン北信シャルドネRDC千曲川右岸収穫2015:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.03.02

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あの北信シャルドネがふたつになった!

日本ワインの金字塔、桔梗ヶ原メルローの誕生は1985年。さらに城の平カベルネ・ソーヴィニヨンが続き、ボルドー系の赤ワインで成功をおさめたシャトー・メルシャンが、次に狙ったのは白ワインのフラッグシップ。それが「北信シャルドネ」です。

北信シャルドネのブドウ畑は長野県北部、長野市豊野町、須坂市、高山村の千曲川流域にあります。もともとリンゴ栽培が盛んな冷涼な気候で、シャルドネの栽培に最適。90年代にヨーロッパ式の垣根仕立てによる栽培が始まりました。

私は90年代の初め、当時、メルシャンが開催していた春の利き酒会で、まだ製品化される前の北信シャルドネを試飲したことがあり、「まるでムルソー(ブルゴーニュ地方の高級白ワイン)みたい」と驚いたことを鮮明に覚えています。

その北信シャルドネが、2015年ヴィンテージからふたつになりました。「北信シャルドネRGC千曲川左岸収穫」と「北信シャルドネRDC千曲川右岸収穫」です。RGCのRGはRive Gauche(左岸)、一方、RDCのRDはRive Droite(右岸)。Cはシャルドネのことでしょうか? フランスのパリでは、セーヌ川の左右でリーヴ・ゴーシュ、リーヴ・ドロワッという言い方をしますよね。

先ほど、北信シャルドネの産地を挙げましたが、長野市豊野町が千曲川の左岸、須坂市と高山村は千曲川の右岸に位置します。じつは左岸と右岸では土壌に大きな違いがあり、出来上がるワインのスタイルが異なるのだそうです。

これまでは両地域で造られたシャルドネを最終的にブレンドし、北信シャルドネとしてリリースしてきましたが、2015年ヴィンテージではそれぞれ別々に瓶詰め。「RGC」と「RDC」の二本立てで登場しました。トップキュヴェにふさわしい、テロワール重視の姿勢が読み取れます。

さて、左岸と右岸の違いとは?

粘土質土壌の左岸と礫質土壌の右岸

左岸の土壌は粘土質が強く、果実味豊かでリッチな味わい。右岸の土壌は礫が多く、ミネラルの感じられるシャルドネだそうです。

今回はRDC、右岸収穫のほうを試してみました。

この高山村の畑を見たことがありますが、たしかにごろごろと礫が多く見られる、いかにも水はけの良さそうな土壌。この高山村のすぐ近くに小布施町があるのですが、栗の里として知られるように、この一帯はとても痩せた土地なのだそうです。

以前の北信シャルドネはオークのばっちり効いたスタイルでしたが、その醸造法も改められたようで、新樽の比率を抑え、樽熟成期間も短縮し、より果実の風味を生かした味わいに変化しています。

左岸収穫のワインとサイドバイサイドで試飲したわけではないので、両者の違いを明確に言い表すことはできませんが、熟したグレープフルーツやパイナップル、はちみつのフレーバーに、口に入れれば豊かな果実味も感じられる一方、きれいな酸とミネラル感が調和し、しっかりとしたストラクチャーも感じられます。今味わっても十分美味しいのですが、もう数年瓶熟させると、ナッツやモカといった香ばしいフレーバーが加わり、また別の顔が見えるのではないでしょうか?

より明確にテロワールが打ち出された北信シャルドネ。機会があれば、RGCとRDCを並べて試飲してみたいものです。

オープン価格(税込8186円で購入)/シャトー・メルシャン 
http://www.chateaumercian.com/

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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