グルメ

「お米が主役」 vol.68

「T.Y.FARM」の自然栽培・天日干しコシヒカリ:お米キュレーター 柏木智帆

2017.03.07

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無農薬・無化学肥料・天日干し、そして東京育ち

東京都産のお米を食べたことがありますか?
お米は、いわゆる「米どころ」だけがおいしいわけではありません。

東京都青梅市の山間部にある「T.Y.FARM」の田んぼでつくられたコシヒカリは、舌触りが滑らかで、すっきりとした上品な旨みが詰まったお米です。

「南魚沼のコシヒカリはおいしくて、東京のお米はまずいというイメージを持たれがちですが、大事なのは場所ではなくどう育てたかということです」と話すのは、T.Y.FARM代表の太田太さん。

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奥多摩から流れる豊富な水を田んぼに引き込み、無農薬・無化学肥料で栽培した稲は、収穫後、天日でじっくりと乾燥させています。

食べてみると、お米の産地に対する見方がきっと変わるはず。東京でもこんなにおいしいお米がつくれるのです。

カッコよく!モテる!見た目は大事!

T.Y.FARMは、保全・保管業「寺田倉庫」の子会社。なぜ、農業に参入したのでしょうか。

その始まりは、1994年の酒税法改正。クラフトビールの製造ができるようになりました。そこで、同社が所有する倉庫の一部をビール工場に。準備期間を経て、1997年に東京都品川区にある「天王洲アイル」に醸造所併設のブルワリーレストラン「T.Y.HARBOR BREWERY RESTAURANT」をオープンしました。

その後、グループ会社として設立した現在の「TYSONS&COMPANY」が次々と飲食店を展開していき、現在では13店舗を経営しています。

(4)suiden 1本格的に農業を始めたタイミングは、9店舗目のオープン時だったと太田さんは振り返ります。
「以前から、寺田倉庫が一次産業に参画しようという『農業』プロジェクトが企画されていました。そこに、農作物の『保存加工』や『種の保存』など、さまざまなプロジェクトが合体していきました。

飲食店を展開していく中で、店で扱う野菜のクオリティをもっと上げようという意見が出て、どうせなら都心近郊で、自分たちで野菜をつくろうということになり、T.Y.FARMが生まれました」

太田さんは、2003年から6年間、アメリカに住んでいました。そのときの経験が、現在のT.Y.FARMに生きています。

「ニューヨークは大都市と言われますが、都市化が進んでいるのはマンハッタンなど一部。そうしたエリア以外のニューヨークは、農業が盛んです。マンハッタンではオーガニックフードが飛ぶように売れています。都心から程近い畑でファーマーが朝収穫したばかりの野菜は、品質も良く、とてもおいしかった。日本でもこうした近郊農業ができるのではないかと思いました」

そして、2015年4月、T.Y.FARMを設立。現在は、青梅市で20〜40代の若手スタッフ約10人が、無農薬・無化学肥料で野菜やお米を栽培しているほか、養蜂も行っています。

プロジェクトの一つ、「種の保存」として、野菜のうち9割は「固定種」「在来種」を栽培しています。固定種、在来種とは、タネをとり、翌年以降に再びそのタネを蒔くことによって、その味や形質が次世代へ引き継がれていくという持続可能な種類の野菜のこと。見た目や味の特徴が際立った野菜や、適した調理法によって味わいをぐんと引き出せる野菜など、多様さと味わい深さが魅力です。

(5)rd1700_IMG_2187写真(上)/ 東京・青山の『CICADA / crisscross前』で開かれているマルシェ

マルシェには、人参だけでも「マルシェ・ド・パリ」「ソーラー・イエロー」「コズミック・パープル」「ルナ・ホワイト」「黒田五寸」など、形状も色も大きさもさまざま。カラフルでとてもオシャレな雰囲気に、多くの人たちが思わず足を止めています。

「売っているときはかっこ良く。そして、女の子に楽しそうに見せる。見た目は大事です」と太田さん。寺田倉庫のトップも「女性にモテたい」という思いからオシャレな飲食店や農業の展開に積極的だそう。ここまではっきりと打ち出していると、妙に納得です。寺田倉庫では、「女性にモテる農と食=健康・健全」という思いの具現化を進めているのです。

 

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