製塩所訪問記~高知県その7・塩二郎~:ソルトコーディネーター 青山志穂

2017.03.10

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料理人から大人気の完全天日塩とは

高知県を訪れて料理人のみなさんに会うたびに、「塩二郎はもう行った?」「うちの塩は塩二郎だよ」「予約しないと買えない」と口ぐちに出てくるその名前。その限定的な販売方法から当時の私はその塩と出会ったことがなく、「いったいどんな塩なんだろう」と、とても気になっていました。

最初に名前を聞いてから数年後、機会に恵まれ、やっと訪れることができた製塩所「田野屋塩二郎」は、奈半利川西岸河口に位置し、豊かな海と山と川に恵まれた田野町にありました。

この製塩所を営むのは、県外出身の佐藤京二郎氏。
当時サーフィン歴20年と、海に慣れ親しんでいた京二郎氏は、海の近くでできるものをと考え、塩づくりの道を目指しました。「土佐の塩丸」を生産する吉田氏の元を訪れて弟子入りを志願し断られること複数回。

サーフィンも趣味もすべて絶ち、住民票まで移して引っ越してきたその熱意に負けた吉田氏が最終的に弟子入りを受け入れ、佐藤さんの「塩の道」が始まりました。数年の修行ののち、独立。製塩所に適した場所を探して、町に受け入れを打診しながら辿りついたのが、田野町でした。師匠から授かった「田野屋塩二郎」と言う名前を冠して、京二郎さんの塩作りがスタートしました。

写真(上)/ 佐藤さんと設計者

Sio44-02写真(上)/製塩所

塩づくりの新しい姿を確立

京二郎さんの塩作りは、ネット式塩田を使って海水を濃縮し、ハウスの中に並べた結晶箱に濃縮海水を入れて、天日で結晶させるという、完全天日塩としては一般的なやり方です。しかし一点大きく異なるのが、「オーダーメイド」で塩づくりを行っているということ。

それはつまり、それを実現できる高い技術力があるということです。ここに、数々の一流料理人から大絶賛される理由がありました。

「もっと甘い塩がほしい」「もう少し大粒で」「うまみを強くしてほしい」「〇〇の香りをつけてほしい」など、料理人からのオーダーに応えて、結晶箱毎にかき混ぜ方や収穫時期、湿度などを調整し、1日に何回も様子を見ながら手を加え、オーダー通りの塩を作り上げていきます。その数なんと200種類以上。とんでもない数です。

 

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