「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.66

グレイス・ロゼ 2016年:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.03.17

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二度目の登場には理由がある

今回ご紹介するのはグレイスワインのロゼ。はい、このロゼワインは昨年、すでに登場しています。その時のヴィンテージは2015年で、今回はリリースされたばかりの2016年です。【グレイス・ロゼ 2015年の記事はこちら

なぜ一年も経たないうちに二度も登場させたのか? じつは2016年のロゼには、特別なストーリーがあるからなんですね。

みなさん、昨年の夏の天気を思い出していただけるでしょうか?
梅雨が7月の末まで続いて日照不足。おかげで葉もの野菜が高騰しました。8月こそ持ち直したものの、9月に入って中旬以降は台風が度重なり、荒れた天候でした。今年は日本ワインにとって厳しい年になりそう。そんなふうに考えておりました。

それからしばらくして、グレイスワインの栽培醸造責任者である三澤彩奈さんのブログで、今年はカベルネ・フランが赤ワインとして仕込まれないことを知りました。赤ワイン用のブドウには、たっぷりとした太陽の恵みが必要です。日照不足では十分に糖度が上がらないばかりか、色付きも悪くなります。これでは深みのある赤ワインに仕上がりません。

彩奈さんも収穫のタイミングをぎりぎりまで待ち、大好きなカベルネ・フランから赤ワインを造ろうと試みましたが、最終的に断念。カベルネ・フランは全量をロゼとスパークリングワインの原料に回す、苦渋の決定をしたのです。

今年の初めに明野のワイナリーを訪問した際、カベルネ・フランのロゼワインは樽の中で静かに眠っておりました。

お花見シーズン到来! ロゼワインの季節です

もっとも2016年のグレイス・ロゼ。すべてカベルネ・フランかといえばそうではなく、メルロ77%にカベルネ・ソーヴィニヨンが20%、カベルネ・フランの比率は3%に過ぎません。とはいえ、涙の決断をしたカベルネ・フランがこの中に含まれているのかと思うと、感慨ひとしおです。

色はご覧のとおり、かなりしっかりしたチェリーピンク。香りは華やかで、バラを思わせるフローラルなノートにイチゴやラズベリーの果実香、さらにスパイシーなニュアンスも感じられます。口に含むめばきれいな酸味が心地よく、果実味も十分。樽熟成によるものでしょうか、しっかりした骨格のあるスタイルにスタイルに仕上がっています。

春ももうそこまで。いよいよお花見のシーズン到来ですね。料理との相性も抜群によいグレイス・ロゼを一本片手に、今年の桜を愛でに行きましょう。

2,700円(税込)/中央葡萄酒 http://www.grace-wine.com

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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