「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.68

イレンカ・ピノ・ノワール2015:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.04.05

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新規ワイナリーが初リリース!

1年半続いた本連載も最終回となりました。最後にご紹介させていただくワインは、新規ワイナリーの初リリースもの。名前は「IRENKA PINOT NOIR(イレンカ・ピノ・ノワール)」です。

正確にいうとイレンカはワイナリー(醸造所)ではなくヴィンヤード(ブドウ畑)。永井邦代さんとデイビッド・アシュレーさんのおふたりが、2012年、北海道岩見沢市の休耕地に3800本のピノ・ノワールを植えつけたことから始まります。

おふたりとも大のピノ・ノワール好き。自分たちの手で理想のピノ・ノワールを育てようと、たどり着いた希望の土地が、美しい丘の連なる岩見沢市の栗沢町上幌地区でした。ちなみにイレンカとはアイヌ語で、理想と希望を意味するそうです。

栽培方法にもこだわり、化学肥料や除草剤はまったく使わず、病気のリスクがある時のみ最低限の農薬を使うリュット・レゾネ(減農薬農法)。ただでさえ気難しく、栽培が難しいといわれるピノ・ノワールですが、これも理想のピノ・ノワールを育てるうえでやはり譲ることのできない条件だったのでしょう。

初リリースされたワインは2015年産。植えてから3年目のブドウになります。

自然な造りが醸し出す複雑なフレーバーと味わい

イレンカは、畑はあっても醸造施設はないので、ご近所の「10R(トアール)ワイナリー」で仕込みが行われました。

そこは、栃木ココファームの元醸造責任者、ブルース・ガットラブさんが経営するカスタムクラッシュワイナリー。近隣の農家さんが栽培したブドウの受託醸造を請け負っています。

永井さんとアシュレーさんはワイナリーのアドバイスとサポートを受けながら、自らの手でワインを醸造。

ブドウの粒を軸から外す除梗も手作業。ブドウを1000リットルの小さなプラスチックタンクに入れ、自生酵母による自然発酵です。発酵が済んだらフレンチオークの古樽に移し、10ヶ月間の樽熟成。清澄もろ過もせず、2016年10月に瓶詰めしました。生産量はわずか757本(!)です。

その貴重な1本を手にいれることができたので、さっそくグラスに注いでみましょう。

色合いは淡めですが、ピノ・ノワールにとって色の濃さなど重要ではありません。香りは自然発酵らしい複雑味を帯び、フレッシュな赤いチェリーに紅茶やキノコが混じり合います。口当たりは滑らか。味わいも香りと同じく複雑で、軟らかな果実味と生き生きとした酸味のバランスがよく、口の中をじわ~っと旨味が広がっていきます。

新世界のピノ・ノワールよりもブルゴーニュの自然派と呼ばれる造り手たち、たとえばプリウレ・ロックやフィリップ・パカレのワインが好きな方にはきっと刺さるでしょうね。

すでにワイナリーでは完売ですが、来年リリースされる2016年はぜひともゲットしてください。

3,780円(税込)/イレンカ 
http://irenka.co.jp

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

 

*連載は今後、不定期での更新となりますが、引き続きよろしくお願いいたします。(プレミアムジャパン編集部)

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