「食の王道」vol.73

【東京 中目黒】藪椿:グルメキュレーター 広川道助

2017.04.07

目黒川の花見のあとは「藪椿」で、
五島列島の酒肴とうどんで温まる

1-minにわか知識で決めつけてはいけないとは承知していますが、私にとって中目黒は「芸能人と若者の街」という認識なので、わざわざ出かけることは滅多にありません。が、こと桜の季節だけは別です。

目黒川の両側に咲く800本の桜がライトアップされた風景は、信じられないほどの人込みの息苦しさを帳消しにするほどのすばらしさで、千鳥ヶ淵とならんで季節の風物詩となっています。

ただ、普段行かないだけに、観桜のあとはどこに行こうか迷ってしまいます。これまでは混雑を避け、車をつかまえて他のエリアに向かうことが多かったのですが、この3月に新しく出来たばかりの店を知ってから、お花見の楽しみは倍加しました。

2-min五島列島の名物「手延べうどん」を中心に長崎から届く海の幸を楽しめるうどん居酒屋「藪椿」です。最近知ったのですが、「うどん居酒屋」というジャンルは福岡が発祥のもので、酒肴を楽しみ、最後に「博多うどん」で〆る居酒屋が4〜5年前から爆発的に流行りはじめたそうです。

それが昨年、東京に飛び火。昨年、東急が開発した中目黒駅高架下のレストラン街に出来た「二〇加屋長介」を始め、いまではかなりの数があるようです。

東京は蕎麦文化とはいわれますが、武蔵野台地に古くから伝わる「武蔵野うどん」のように、うどん文化も水面下で脈々と残っています。それと博多の屋台で培われた居酒屋文化がうまく手を結べば、東京でも流行るのは当然かもしれません。

さて、藪椿がメニューの中心に据える「五島うどん」は、店の名前のとおり、打ち粉に椿油を使うのが特徴。細くてこしが強いうどんですが、なにせ五島列島でしか生産されていないため量が少なく、これまで食べたことはありませんでした。

そのうどん、これまた五島列島の名産であるアゴ(飛び魚)の出汁で食べると、アゴの強い旨味がつるりとしたうどんに似合って、絶妙な味になるのですが、酒飲みは最初からうどんを食べるわけにはいきません。実はそこが「藪椿」を推すところでもあります。酒肴の揃えと酒の種類がいいのです。

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