銀座松崎煎餅の「江戸瓦」三味銅、冬柄を楽しむ

2017.11.09

1

銀座松崎煎餅の、ほんのり甘い瓦せんべいに、いつも心あたたまるのはなぜでしょう。季節ごとに絵柄が変わる、絵はがきを選ぶように、銀座で私はかわいいお煎餅を選んでいます。

松崎煎餅の瓦せんべいは「江戸瓦」と呼ばれ、中でも一枚ずつに柄をほどこしたこのシリーズは、三味線の胴に似たことから「三味胴(しゃみどう)」と呼ばれます。

店舗

創業は文化元年(1804年)。芝魚籃坂から三代目が慶応元年(1865年)、銀座に店を移し、美味しいお煎餅を作り続けてきた老舗。現在の本店は、銀座四丁目交差点からほど近く、創業以来210余年の今も、多くの人々に愛され続けています。

2

季節ごとに、柄が変わる「三味胴」の、秋柄から冬柄に移り変わるのが11月の半ば頃。上の写真は「松」「福寿草」「梅」「雪うさぎ」。

3

 そして「竹」「千両」「椿」「冬景色」です。こうして松崎煎餅の店頭に冬柄のおせんべいが並び始めると、冬の訪れを感じるのです。

松崎煎餅は、創業当時から瓦せんべい(小麦を原料とした煎餅)を焼いていましたが、花鳥風月の絵柄を、焼印や砂糖蜜で描きはじめたのは5代目、昭和初期のこと。煎餅ではこれまでに出すことがなかった季節感を表現しました。

4

鉄の鋳型を使って焼き、煎餅の表面を一枚ずつなめらかにし、砂糖蜜でひとつひとつ手作業で絵柄が描かれます。

現在8代目の松崎宗平さんは、家業に戻って11年目。「三味胴は、若いお客さまにも新鮮なようです。アイシングクッキーは知っていても、絵を描いた瓦煎餅は知らない人もいます。本店は私がコンセプトから考えました。地下一階は三味胴を並べるギャラリーのような空間です。店全体の木の暖かみ、白の壁は日本人にはモダンに、外国人の方にはトラディショナルに写ると思います」

5

1枚ずつポストカードのように選び、好きな柄をセットで箱詰めしてもらうこともできます。近代的なクリスマスや動物の柄も、ギフトに人気。「幅広い年齢層に届けたいんです。そのためには絵柄、なんですよね。絵はいろいろな層のもとへ羽ばたかせてくれます」(松崎宗平さん) 銀座本店には、先代が気に入り、土に埋めてまで手元に残したという焼き型が展示してあります。煎餅の鉄の型は、戦争時の物不足のときに殆どが供出されましたが、五代目が愛し、どうしても手放したくなかったというものです。

6

「店に入り、昔からずっとやってきたものを大切にしたい、という思いが強くなりました。奇をてらうことなく、時代にあわせてよいものを作る。10年、20年かけて、地道においしいものをみなさんの生活に届けたい。将来100年、200年と店を続けていくための、ロードマップを敷くのが自分の役割だと思っています」と話す、8代目の松崎宗平さん。

歴史あるやさしい甘みのお煎餅「三味胴」で、日本の四季を感じるのは素敵な時間です。

 

■江戸瓦 暦 8枚入り 1080円 (税込)

■江戸瓦 三味胴 1枚 各130円(税込)〜  

銀座 松崎煎餅 本店

住所:東京都中央区銀座5-6-9

営業時間:11:00~20:00 無休(年末年始を除く) 電話:03-6264-6703

http://matsuzaki-senbei.com/

 

  文 / 市川歩美 チョコレートジャーナリスト ショコラコーディネーター