シンガポールの日本米おにぎり専門店『SAMURICE』:「お米が主役」vol.06 柏木智帆

2015.12.08

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シンガポール初のおにぎり店、「サムライ」と「ライス」で「サムライス」

シンガポールの日本米おにぎり専門店「サムライス」は、初めて聞いた人でもすぐに「なるほど」と思える、分かりやすくユニークなブランド名です。2014年7月に現地初のおにぎり屋としてオープンしたサムライスは、現地の日本人や和食好きな現地人に親しまれ、今年5月には2号店もオープンしました。

「私たちのミッションは、おにぎりを通じて日本産米の輸出を拡大すること、日本の農業再生に貢献することです」

そう話すのは、日本の農業ベンチャー「アグリホールディングス」の子会社「SAMURAI FOOD」代表の長山哲也さん。

シンガポールを選んだのは、日本米の輸入関税がかからず、日本のおにぎり屋が出店していなかったためです。ASEAN(東南アジア諸国連合)の中央に位置し、アジア事業のハブとしても注目を集めているシンガポールに出店することで、ASEAN地域に展開しやすくなるとの目論みもありました。

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甘辛い味が人気のサムライおにぎり 照り焼きサーモン

おにぎりは、提携農家の日本米を100%使用。長山さんが半年間にわたって修行した日本のおにぎり専門店「ぼんたぼんた」の握り方やレシピを基本としています。定番おにぎりからプレミアムおにぎりまで常時20種類を取り揃え、現地の日本食の店で照り焼き味が好まれていることからメニュー化した照り焼きサーモンおにぎりは一番人気。長山さんによると、現地のファストフード店では照り焼きビーフを挟んだバーガーが「サムライバーガー」との名前で販売されているそう。照り焼きサーモンは現地の人にとってサムライスを象徴するおにぎりなのかもしれません。

サムライスのおにぎりは中身だけでなくトッピングにも具がたっぷり。これには、シンガポールならではの理由があると長山さんは説明します。

「一つは、長細くパサパサのお米におかずをかけて食べる現地の食文化に合わせて、常にお米と具を一緒に食べられるように。もう一つは、彩りの豊かさ。日本のコンビニおにぎりは、具が見えずに『ツナマヨ』などと書かれたおにぎりが一般的ですが、現地では色がないとおいしそうだと思ってもらえないのです」

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おにぎり工場も稼働 ますます高まるおにぎり熱

これからの取り組みの一つは、アジアンフードのおにぎり化。これまで、タイ料理のガパオを混ぜ込んだおにぎりや、シンガポールチキンライスを混ぜ込んだおにぎりなどを試作しています。「第二のカリフォルニアロール」のようなおにぎりを誕生させ、日本でも普及させることを目指しています。

直営店のほかにデリバリーでの販売も始めたサムライスは、さらに今年11月からは現地でおにぎり工場を稼働。スーパーや飲食店、コンビニなどへのおにぎりの卸売もスタートさせました。シンガポールでの「おにぎり熱」はますます高まりそうです。「海外の人たちは『サムライ』が好き。世界に通用するブランド名だと思っています」と長山さん。2016年以降は、ASEANへの展開も考えているというサムライス。サムライジャパン、サムライブルーに続き、世界に羽ばたくか——。

 

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■お問合せ
SAMURICE
電話:(+65)8157-0096
http://samurice.sg

商品価格:1個3〜5S$

 

写真提供:SAMURAI FOOD

取材・文 柏木智帆

 

【柏木智帆の〈お米が主役〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/chiho-kashiwagi/

 

 《プロフィール》

柏木智帆

フリーランスライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材活動をする中、生産の現場に立つために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたって千葉県で無農薬米をつくりながらおむすびのケータリング屋を運営。2014年秋からは消費や販売に重点を置くため都内に拠点を移して「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに活動。神奈川新聞契約ライター。「日常茶飯」をテーマにお米とお茶のお取り寄せサイト「和むすび」(http://www.wa-musubi.jp)を運営

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