高畠ワイン バリック樫樽熟成2014「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.10 柳忠之

2015.12.16

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シャルドネは醸造家にとって腕の振るい甲斐がある品種

シャルドネは控えめなキャラクターの白ワイン用品種です。たとえばソーヴィニヨン・ブランはグレープフルーツやハーブの香り、リースリングは白い花やピーチの香りがはっきり嗅ぎ取れるので、ブラインドテイスティング(ラベルを隠して行われるテイスティング)でもずばり当てることはそれほど難しくありません。ところがシャルドネは、「これだ!」といえる際立った香りがないので難しい。

いや、もちろん、ワインに精通した方なら、洋梨の香りとか、蜂蜜の香りとか、ナッツの香りとか、バターの香りとかおっしゃることでしょう。でもそれらは品種そのものの香りというより、むしろ醸造の過程で生まれた香りなんですね。

それからシャルドネは比較的適応能力の高い品種で、栽培地をあまり選り好みしません。日本でも北海道から九州まで各地で栽培されているのがその証拠。加えて、醸造の仕方でキャラクターがいかようにもなるので、造り手としては腕の振るい甲斐のあるセパージュ(品種)のようです。

 

ナイトハーベストでフレッシュさやフルーティさをキープ

山形県の高畠ワイナリーが造る「バリック・シャルドネ樫樽熟成」も、醸造責任者の川邉久之さんがもてる限りの技術を駆使して仕上げたワイン。

まずブドウが栽培されている山形県南部の高畠町は、夏から秋にかけて昼夜の寒暖差が20度にも達する土地。そのため酸を保ったまま、熟度の高いブドウが収穫できます。しかも、摘み取りは夜間の涼しい時間に行われる、いわゆるナイトハーベスト。ブドウの温度が低いうちに収穫し、ただちに仕込むことで、フレッシュさやフルーティさを損なうことなく、フレーバーに富んだワインが出来上がるのです。ちなみに2014年は10月16日と19日の2日間、午前3時に始まり、6時終了。もちろん周囲は真っ暗ですから、電球の明かりを灯した中での収穫。作業の大変さが伺い知れますね。

このぴちぴちのブドウを、80パーセントはフレンチオークの樽で、20パーセントはステンレスタンクで発酵させます。当然、前者は木のフレーバーがつきますが、後者はニュートラル。最終的にこのふたつのワインをブレンドすることでバランスをとるわけです。

そのほか専門的には、フレンチオークも樽材の産地や製樽業者の異なるものを組み合わせ、新樽の比率は45パーセント。ワインを澱とともに寝かせるシュール・リーの状態で11ヶ月熟成。酵母も樽ごとにタイプの異なるものを使用し、ワインに複雑味や奥行きをもたせています。

 

この品質で2500円のお値打ち価格

グラスに注ぐと、ジャン・マルク・ボワイヨあたりの造り手が手がけたピュリニー・モンラッシェを彷彿とさせる、スモーキーなフレーバーが香ばしく香り、洋梨にマルメロ、蜂蜜、炒ったアーモンドなど、さまざまな香りが渾然一体と感じられます。味わいリッチながら、きれいな酸味も保たれ、バランスのよい仕上がり。しかもこのワイン、2500円というお値打ち価格なのがうれしいところ。

カリフォルニアで醸造を極めた川邉さんの造るシャルドネは、どちらかといえばカリフォルニアスタイルとこれまで思っていましたが、このワインはむしろブルゴーニュ。意外な驚きでした。

 

2500円(税込み)/高畠ワイナリー
http://www.takahata-winery.jp/

 

取材・文/柳 忠之

 

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