モダンデザインで現代に生きる伝統工芸の陶器「KIKOF」

2016.07.04

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伝統工芸が生み出す薄く直線的な陶器

直線構成で角張ったデザイン。薄くてまるで紙かプラスチック製のようにも見えます。それでいて陶器の持つ柔らかい印象や深みのある輝き。それが「KIKOF」の器です。

コーヒーカップやマグカップ、ポットや花瓶までみんな八角形で紙のように薄く、軽い器ばかりです。このモダンアートのようにも見えるデザインの陶器をつくっているのは、日本の伝統工芸「信楽焼」の窯元、丸滋製陶株式会社です。伝統工芸を伝える職人が一つ一つ丁寧につくっています。

器の色は実用的でありながら、新しさを感じさせる琵琶湖の湖面をイメージした優しい色です。すべての器に琵琶湖の面積を示す「670.25」の文字が刻印され、職人の琵琶湖へのこだわりを表しています。釉薬のかかっていない底面は、職人の手で丁寧に泥を塗って仕上げた落ち着きのあるマットブラック。「KIKOF」のロゴが刻印され、密かにデザイナーと職人の誇りを主張しています。

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信楽焼の土とたゆまぬ研究が可能にしたデザイン

信楽焼は鎌倉時代中期に生まれ、茶碗や徳利などから火鉢や植木鉢などまで幅広い器がつくられてきました。耐火性が高く柔らかくて暖かい風合いが特徴です。信楽の土は、日本のマザーレイク「琵琶湖」の古代の粘土層。この土だからこそ「KIKOF」の薄く、直線的なデザインの陶器がつくれます。

丸滋製陶の5代目当主、今井智一は、「KIKOF」のデザインを実現するにあたって、伝統的なろくろによる回転体の製法から、新たに鋳込み製法に挑戦。試行錯誤の末に、八角形の器の製造工程を確立しました。

釉薬の配合も何度も調整を繰り返し、磁器では表現できない独特の素材感を持つ色を造り出しました。「KIKOF」ブランドは、立命館大学の佐藤典司教授の提唱する「Mother Lake Products Project」に参画した東京のグラフィックデザイン会社キギと丸滋製陶による共同開発で生まれました。

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