女性の髪にすっと馴染み、見た目も美しい櫛「お六櫛」

2016.09.04

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ミネバリの木で作る「お六櫛」の伝承

今日は「くしの日」。「く(9)し(4)」と櫛の語呂合わせから、美容関係者で作る美容週間実行委員会が1978(昭和53)年に制定しました。美容関係者に対して、櫛を大切に扱うことを認識してもらうこと、美容に対する人々の意識を高めてもらうことが目的です。

女性の身支度には「櫛」が欠かせません。良い櫛は女性の髪になじみ心地良くすくことができます。「お六櫛」は長野県木曽郡木祖村薮原で作られる櫛で、約300年もの伝統を誇る伝統工芸品です。お六櫛の誕生には下のような伝承があります。

旅籠の娘・お六は美しい娘でしたが頭痛に悩まされていました。お六は御嶽山に快癒の願を掛けます。すると、ミネバリの木で作った櫛で髪をすくようにというお告げがありました。お六がそのとおりミネバリの櫛で朝夕黒髪をすいてみたところ、頭痛は去ったのです。

お六は御利益を他の人たちにも分け与えようと、ミネバリの木で作った櫛を売ることにしました。それが中山道・木曽路の薮原宿の名産品となり、全国にも「お六櫛」として知られるようになりました。

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一寸の間隔に29-42本もの歯を入れる!

「お六櫛」の材料となるミネバリの木は、カバノキ科の落葉高木で別名「斧折樺(オノオレカンバ)」。斧を折るほどに堅いという意味で、事ほどさようにミネバリは目が密に詰まった堅く重い木なのです。このミネバリの木を伐採し、原木のまま3年、板取りした状態で10年寝かせ、完全に曲がりを取った状態にしてから櫛に加工します。

歯を作る作業は非常に緻密なものです。歯挽き鋸(ハビキノコ)によってわずか一寸(3cm)の間隔に29-42本もの歯が作られます。歯挽き鋸自体も職人自身が時計のぜんまいを削って作るのです。櫛の歯はこの後、トクサによって丹念に削り磨かれます。

優れた技術をもって1枚ずつ丁寧に作られた「お六櫛」は、母から娘、またその娘へと3代にわたって使えるといわれるほどの名品です。お六の伝承は元禄年間(1688年-1704年)のことと伝わりますので、木祖村薮原では約300年もの間、卓越した技術を持つ職人がミネバリの木から櫛を作り続けてきたのです。

「お六櫛」を制作・販売している『お六櫛本舗』の商品を見てみましょう。

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