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「清課堂」の錫ビアマグでビールを飲む幸福

2017.01.09

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使うほどに味わいが出る「錫器」

現代の金属の器といえば、材料はアルミニウムかステンレスがほとんどです。そして、高級食器といえば銀。あまり見なくなったのが錫の器です。

そのように少々馴染みの薄い錫ですが、世界中では古くから装飾品や日用品に加工されて使用されてきたのをご存じでしょうか? 柔らかな輝きを放ち、銀のように黒ずんだり、鉄や銅のように錆びたりもしない。錫とは、そんな素材です。また、水を浄化する働きがあるともいわれ、茶器や酒器として珍重されてきました。

アルミニウムやステンレスの器は、丈夫で「変わらない」ことを重視してつくられます。対して錫器は柔らかいので傷がつき、へこむこともあります。しかしそれがやがて味になり、使う人の歴史になります。いわば錫器は、「変わる」器なのです。たとえば、茶人は錫の茶入れに手の脂をつけて「育てる」そうです。人が器を変え、使うほどに魅力が増すという粋な考え方です。

rd850_02現存する日本最古の錫工房

江戸時代から現代に至るまで、京都寺町で錫の器をつくり続けているのが「清課堂」です。現存する錫工房では、日本最古。1838年に寺町で創業し、今でこそ日用工芸品が中心ですが、当初は神社、仏閣、そして宮中のための制作を行ってきました。

伝統を受け継いだ職人が成すのは、機械には真似できない、錫器の美しい肌や形。そこには、繊細な手仕事による芸術が宿っているのを感じます。

 

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