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さらなる外国人観光客を呼ぶために、日本がいま気づかないといけないこと——「アトリエ・ブランマント」総合ディレクター齋藤峰明さんインタビュー〈Vol.2〉

2016.05.20

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「アトリエ・ブランマント」総合ディレクター齋藤峰明氏。

実は日本は、外国人観光客にとって
“優しくない”国だった!?

“おもてなし”を合言葉に、さらなるインバウンドの増加を狙い、観光立国を目指す日本。テレビでは「訪日客が1900万人を突破!」といった揚々としたニュースが流れたりもする。しかし外国人観光客たちにとって、その実態はどのようなものか、課題点はあまり表立たない。日本は旅しやすい国なのか? 改善するとしたらどの部分なのか? それは外からの視点がないと明瞭にならないことがらだ。

そこで、齋藤さんに日本人が気づきにくい観光産業のズレについてヒアリング。途中からはアーティストの河原シンスケさんが急遽参加し、海外生活の長いふたりならではの指摘に溢れた対談となった。

まずは齋藤さんが、海外のツーリストにとっての意外な日本の楽しみ方を教えてくれた。

「実際、日本は旅の目的地に溢れていて、観光国としての日本のポテンシャルはとても高いです。さまざまな素晴らしい資源に囲まれた島国ですからね。それには海外の人も気づいていて、フランスの友人に旅に誘われてついて行った時など、その目のつけどころに驚かされました。電車で由比ヶ浜に行き、バスに乗って田んぼの真ん中の停留所で降り、田んぼ道を突き進むと気持ちのいいビーチに出る。どうやらフランス人に人気のガイドブックにのっているらしく、でも日本人は知らない場所だったりするんです」

そんな魅力的な環境がある一方で、実は日本は旅をするのに“優しくない”国でもあるそう。

「例えば駅でスイカや乗車券を購入する時に、クレジットカードが使えないのは不便ですよね。こんな近代的な国で交通にクレジットカードが使えないとは、海外の人は想定外だと思います。現金が必要になるわけですが、両替する場所もそうそうない。それに交通費が本当に高い。東京から京都まで新幹線は片道1万3000円もして、行く人が限られます。そうかと思えばガラガラな新幹線もあったりして、結果的な経済効果を考えるとこの運賃設定はもったいないです」

確かにヨーロッパは飛行機も電車も安いから手軽に乗れて、そういった国から来る旅行者は万単位の交通費に驚くはず。そして大きいのが、言語の問題。

「いまはどの国に行っても英語の表記や説明がありますが、日本の表示はまだまだ不親切。以前、空港から成田エクスプレスに乗った時に事故が起こり、電車が止まってしまったことがありました。駅員さんが来て“当分動かないので乗り継ぎをしてください”と話すのですが、外国人客が多いなか日本語でしか説明がされず、乗客はちんぷんかんぷん。みなさん不安そうで、僕が通訳しました。そういう配慮が足りないところがあるわりには、“Watch your step”なんてアナウンスは何回も流される。ものすごく短い間隔で言うから、はじめ故障しているのかと思いました」

その“Watch your step”という注意はいるのかというとそうでもなく、逆にもっと必要な英語アナウンスが欠けているのが現状だ。

「文化遺産や歴史遺産の表記にしてもそうです。二条城はNijojoとアルファベット表記されているだけだったり、徳川の城と書いても、Tokugawa?となりますよね。欧米人の多くは日本文化に興味があって来る人が多いので、もう少し分かりやすい英語の説明書きを用意した方がいいと思います。そんなに手間のかかることではないし、そこに投資するべき」

 

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