三遊亭春馬師匠に聞く、落語の楽しみ方【インタビュー(前編)】

2015.11.01

寄席はどのように楽しめばよいか?

ニッポンの伝統芸能の一つである、落語。その正体は、笑って泣ける庶民の癒し。難しい、堅い……という伝統芸能のイメージとはかけ離れた、身近で楽しいものです。

毎日どこかの演芸場やホールで寄席が開かれ、落語家や色物の方たちが爆笑の渦を巻き起こしています。寄席に興味はあるけど未体験で、どうやって足を踏み入れたらいいの?と思っているみなさまのために、三遊亭春馬師匠から落語のい・ろ・はと寄席の奥深〜い魅力を伺いました。

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春馬師匠が目指すのは、誰にでも楽しめる寄席

「落語家は歌舞伎役者とかタレントとかと違って普通にその辺にいますよ。下手したら食い逃げしてんじゃないかってくらい(笑)。電車の中でぶつぶつ言ってたり、公園でぶつぶつ、歩きながらぶつぶつ。落語の練習してるんですよ」と話す三遊亭春馬師匠は、三遊亭小遊三師匠の一門。本日も浅草演芸ホールで寄席を取り仕切る“トリ”を務める、いま人気の落語家さんです。春馬師匠が大切にしているのは、誰でも楽しめるような寄席にすること。師匠、ご指導お願いいたします!

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この日の春馬師匠は、古典落語である「時うどん」を披露。浅草演芸ホールが笑いに包まれました

——初めてでも気軽な気持ちで入っていいのでしょうか。

寄席のお客さんて、じつは半分が初めて落語を聞きに来た方なんです。偶然ふらりと入ってくる方も多いです。落語通の方もいますが、これはだいたい1、2割。残りの3割は落語が好きで聞いたことあるよという方。落語家が単独や数人で主宰する独演会やホール落語へ行けば、また独特の雰囲気がありますよね。落語って難しい、堅い、つまらないみたいなイメージがあって、落語家もお客さんも、お年寄りばっかりだと思っている人が多いけど全然そんなことないんですよ。お客さんは若い人やカップルもいるし、落語家もイケメンやおじさんなど色々ですね。

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楽屋でこの日の落語について盛り上がる笑福亭鶴光師匠(右)と三遊亭圓丸師匠(左)、春馬師匠(中央)。楽屋でも冗談が飛び交って、とても賑やか!

 

悲しい人も辛い人も寄席にくれば元気になる

———寄席(よせ)の魅力を教えてください。

じつは、私が初めて落語を聞いたのは小学3年生のとき。変なおじさん(笑)や若いお兄ちゃん、手品やる人とか、色んな人が次から次へ出てきて、たまにテレビで見たことある人も出てきて「あ、知ってる!」と喜んだり。落語は全然理解できなかったけど、みんながどっと笑う雰囲気が好きだったんですよね。寄席にはそういう独特の空気感があるんです。悲しい人も、辛い人も、寄席に来ると無条件に笑えるみたいな。それから1日でたくさんの落語家や、そのほかの色々な人を見られるのも魅力。コマ回しや太神楽、マジックをする人、コントする人。色物と呼ばれる方たちです。今回は、漫才のお兄さん方に2組出ていただいてます。

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たくさんの人で賑わうホッピー通りを抜けたところにある浅草演芸ホール

 

好きなときに好きなだけ楽しめるのが寄席

——寄席は、1日通して見た方がいいですか?

昼の部と夜の部に分かれていますが、たとえば夜の部の途中から聞きにきてもいいんです。飽きたら途中で出てご飯を食べに行ってもいいし、逆にご飯を食べた後に寄席を聞きにきたりしてもいい。とにかく好きなときに、好きなだけ、気軽に楽しめるのが寄席の気楽さ。日によって雰囲気も違うし、何回か通ううちに爆笑するときも出てきて、お気に入りの落語家も見つかってくる。“追っかけ”から始めて落語通になる人もけっこういるんですよ。だから“当たる”まで見にきてほしいんです。それに、大相撲や歌舞伎と比べたら入場料も断然安い。3000円ですからね!

——寄席は、毎回雰囲気が違うのでしょうか?

寄席の顔付けによってももちろん違いますし、天気や入るお客さんによっても全然違いますね。それから「浅草演芸ホール」は下町なので、みんなが楽しもうという雰囲気がありますし、ほろ酔いのお客さんなんかもいる。みなさん、陽気です! 新宿三丁目にある「末廣亭」はどっちかというと上品な雰囲気。「国立演芸場」はもっと上品! 「池袋演芸場」はマニアが集まってくるから、常連さんがけっこういます。同じ根多をやってもウケる日とウケない日があるくらい。何度来ても楽しめると思います。

 

みなさんもこの秋、日本の伝統芸能の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

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三遊亭春馬師匠

1966年生まれ。埼玉県草加市出身。三遊亭小遊三師匠に入門し、平成4年に二ツ目に昇進。五代目三遊亭春馬を襲名。平成13年に真打昇進。落語芸術協会会員。一門に二代目三遊亭圓丸師匠やナイツなど。

 

Text:Inoue Makiko

Photo:Kei Katagiri