三遊亭春馬師匠に聞く、落語の楽しみ方【インタビュー(後編)】

2015.11.08

知ればもっと楽しくなる落語の知識

『笑点』のメンバーである三遊亭小遊三師匠の一門で、真打として活躍されている、三遊亭春馬師匠とお届けする落語の楽しみ方。後編では、落語家さんならではの裏話や、知っておくとより落語を聞くのが楽しくなる知識をご紹介。浅草演芸ホールで10月に行われた寄席の、とある一日にお邪魔してお話を伺いました。

(前半の記事はこちら

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これから出番の笑福亭鶴光師匠(右)と高座裏にて

 

初めて聞くなら上方落語滑稽噺がおすすめ

——関西(上方)と東京の落語の違いを教えてください。

まず、落語家にはいわゆる “爆笑系”と“聞かせる系”がいます。上方(大阪・京都)の落語家は爆笑系で、話し方は押しが強く、同じ根多でも東京の落語家より“くすぐり”(笑い)をたくさん入れるのが特徴。一方、東京の落語家は笑わせるばかりでなく、お客さんの心にぐっとくるように“聞かせる”ことも重視します。

落語自体は、武士を主題にした人情話などはもともと東京特有のもので、滑稽話のような爆笑系の落語は上方のものでしたが、いまでは落語家が東京や関西に呼ばれることも増えて、そうした隔たりもなくなってきました。

上方落語滑稽噺はわかりやすく、初心者の方でも楽しみやすいと思います。だんだん通になってくると東京の芝居がかった“聞かせる”落語に芸術を感じるようになってくるんです。でもやっぱり、純粋に「笑って楽しむ」のが一般的な落語なのだと思います。

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この日、春馬師匠が披露したのは、上方落語の「時うどん」。これを江戸流にアレンジした「時そば」という落語もある

 

——季節によって話す落語は変わりますか?

一年を通して楽しめる落語と、四季折々の落語があります。そばが登場する「時そばは、冬に話す落語と決まっています。今では一年中食べられますが、江戸時代では冬の食べ物だったため、その名残があるんです。花見を主題にした「長屋の花見」などは2月終わりから4月頃まで。花火にまつわる「たがや」やお化けが登場する多くの落語は夏、という具合です。とくに寄席では落語の季節感がとても大切になりますが、ホール落語では季節に関わらず自由に話を選んでもよく、いろいろな話を聞くことができます。

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取材前日の顔付けと落語が記された根多帳

 

お気に入りの落語家さんを見つける

——最近は、落語を聞きにくる女性客も多いと聞きます。実際はどうですか?

以前、落語をテーマにしたドラマ「ちりとてちん」や「タイガーアンドドラゴン」が人気になったことで、女性のみなさんのあいだに落語ブームが起きました。そこで、「かっこいい」「おもしろい」と思えるお気に入りの落語家が見つかって、落語を聞きにくるようになった人も多いようですね。

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——いま話題の「深夜寄席について教えて下さい。

新宿三丁目にある「末廣亭」で、夜の9時半からスタートする寄席です。まだ真打になる前の、二ツ目という地位の落語家が出る寄席で、入場料も500円と格安。気軽に見に行けることもあって、いま若い人の間で流行っています。昔はお客さんも30〜50人くらいしか入りませんでしたが、いまでは一晩で200〜300人入るほど人気ですね。

——最後に、みなさんに向けてメッセージをお願いします。

寄席は、一門が揃って出演する番組や、若手ばかりが出演したりする番組などさまざまです。初めて落語を聞きにくる方や聞き慣れていない方、ご家族やカップルで落語を楽しみたい時は、まずは寄席にお越しください。きっと楽しめる落語に出合えるはずです。そして、できれば私、三遊亭春馬が出演している寄席に(笑)

——師匠、ありがとうございました。

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三遊亭春馬師匠
1966年生まれ。埼玉県草加市出身。三遊亭小遊三師匠に入門し、平成4年に二ツ目に昇進。五代目三遊亭春馬を襲名。平成13年に真打昇進。落語芸術協会会員。一門に二代目三遊亭圓丸師匠やナイツなど。

 

Text: Makiko Inoue
Photo:Kei Katagiri

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