利休が愛した名碗を一挙公開!東京国立近代美術館にて「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」開催

2017.01.27

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写真(上)/ 初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 大黒 重要文化財 桃山時代(十六世紀) 個人蔵

一子相伝によって独創的に発展してきた樂茶碗

一子相伝 —— 芸や学問などの秘伝や奥義を、自分の子の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないこと。

450年前、長次郎という人物からはじまり、“一子相伝”によって現当主である十五代樂吉左衞門まで、脈々と受け継がれてきた「樂焼」。中国明時代の三彩陶をルーツとして、「わび」茶の精神を軸に独創的な発展を遂げてきました。

樂焼が誕生した当時は、織田信長や豊臣秀吉などの戦国武将が群雄割拠した安土桃山時代。茶の湯を好んだ信長や秀吉に寵愛され、「わびさび」の思想を生んだ千利休が、長次郎の樂茶碗を愛しました。この特別な伝統を持つ樂茶碗が一同に会す展覧会が、京都国立近代美術館(開催中〜2/12)と東京国立近代美術館(3/14〜5/21)にて開催されます。

利休が愛した初代長次郎作品が勢揃い

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写真(上)/ (左側) 初代 長次郎 赤樂茶碗 銘 無一物 重要文化財 桃山時代(十六世紀) 頴川美術館蔵 【展示期間:京都会場2016/12/17~2017/1/15,東京会場2017/3/14~4/2】
(右側) 本阿弥光悦 赤樂茶碗 銘 乙御前 重要文化財 江戸時代(十七世紀) 個人蔵

展覧会では、利休がもっとも愛したといわれる黒樂茶碗「大黒」や、松平不昧が愛した「無一物」といった初代長次郎作品にはじまる、樂焼歴代の重要文化財に加え、本阿弥光悦の重要文化財も一挙に展示。すでに、ロサンゼルス・カウンティ美術館やサンクトペテルブルク・エルミタージュ美術館、モスクワ・プーシキン美術館で開催され、約19万人を動員してきた超人気の展覧会を、さらに充実させた内容となっています。

注目すべきは、樂焼の特徴です。ろくろや型を使わず、手捏(づく)ねで形作り、篦(へら)で土をそぎ落としていくという彫刻的な手法により、唯一無二の独特な造形を見ることができます。

焼成はさらに独特で、1点しか入れることのできない窯で、備長炭による火を調整しながら焼き上げるというもの。職人による分業を行わず、弟子を取らずにすべて当主独りで制作していきます。

現十五代当主が魅せる、味わい深い樂茶碗の数々

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写真(上)/ (左側) 十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 平成24年(2012) 東京国立近代美術館蔵
(右側) 十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 銘 涔雲は風を涵して谷間を巡る 悠々雲は濃藍の洸気を集めて浮上し 平成15年(2003) 樂美術館蔵

約450年の間、樂焼はこうしてそれぞれの代でその時の「現代」を意識し、試行錯誤しながら創作が続けられてきました。長次郎をはじめとした歴代の「今-現代」のもとに作られた樂茶碗の数々から、一子相伝のなかの現代性を見ることができる本展覧会。

その最も新しいものが、「焼貫」の技法を駆使し、大胆な篦(へら)削りにより造形が特徴の、現当主・十五代樂吉左衞門氏の前衛的な作品です。初代長次郎の侘び茶の真髄を表す樂茶碗から、十五代樂吉左衞門氏など各代が伝統に根ざしながらも、現代性へ踏み出した名品を一度に鑑賞できる機会は、これが最後になるかもしれません。

 

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 坂東玉三郎氏×十五代樂吉左衞門 スペシャル対談も開催

また、2月8日に京都、3月31日には東京で、樂焼をテーマに坂東玉三郎氏と十五代樂吉左衞門氏によるスペシャル対談を開催予定。格式高い伝統を継いできたお2人が考える、樂焼への思いを語っていただきます。「わび」茶の世界観や樂焼の奥深い魅力をより深く理解するためのきっかけになるはず。展覧会と合わせてぜひ、お楽しみください。

※スペシャル対談の詳細情報
http://raku2016-17.jp/event.html

 

 

 

■開催概要
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」
〔京都〕
会場:京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町
会期:開催中〜2017年2月12日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般1,400(1,200)円、大学生1,000(800)円、高校生500(300)円、中学生以下無料
※( )内は、20人以上の団体料金。

〔東京〕
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
会期:2017年3月14日(火)〜5月21日(日)
開館時間:10:00〜17:00、金曜日〜20:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日・3月21日(火)(ただし、3/20、3/27、4/3、5/1は開館)
入館料:一般1,400(1,200)円、大学生1,000(800)円、高校生500(300)円、中学生以下無料
※( )内は、前売りおよび20人以上の団体料金。

公式HP:http://raku2016-17.jp/

 

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