春のお花見、夏の怪談…落語の世界の住人たちが満喫する日本の四季

2017.03.22

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寄席に行けばいつでも楽しめる古典落語。1年を通して高座にかけられる噺もありますが、四季を感じられる噺もたくさんあります。時季ものの落語は、当時の人々の文化や生活を垣間見れたり、その季節でしか味わえない風情があったりと魅力たっぷり。寄席に足を運んで、日本の四季を堪能してみませんか?

上記イメージの画像出典:Go Imai / 桜 (from Flickr, CC BY 2.0)

春はやっぱりお花見が好き

桜のつぼみがほころび始めると、ついウキウキしてしまいますよね。落語の世界の住人たちも同じで、春はやはりお花見を楽しむ人が多いよう。貧乏ながら花見を楽しもうとする「長屋の花見」や花見客に売ろうとしたお酒を結局は売り手がすべて飲みきってしまう「花見酒」などは、「これこそ、ザ・落語! 面白い」「にぎやかでいいね」「春はやっぱり『長屋の花見』」という声がSNSで上がっているように、春に聴きたい噺とされています。

落語の中では、「長屋の花見」の「上野のお山」、「花見酒」の「向島」、また「花見の仇討ち」の「飛鳥山」といった現代も変わらぬ花見の名所が登場します。何百年も昔の人も、現代と同じ場所で同じように花見を満喫していたんですね。

エアコンのない江戸の夏

落語には滑稽な噺ばかりではなく、背筋がぞっとする怪談噺も存在します。漫画『昭和元禄落語心中』の与太郎も惚れ込んだ怪談噺「死神」は、借金で首が回らなくなった男が死神に出会い、簡単に儲ける話を教わるシーンから始まります。順調に儲けていく男ですが、死神を騙したことで最後はおそろしい目に…。

他にも、男女の愛憎が悲劇を招く「牡丹灯籠」、欲深い夫婦が身投げした爺さんに復讐される「もう半分」など、暑い夏でも思わず涼しくなりそうな噺があります。エアコンがなかった時代に怪談噺を聴くのは、少しでも涼を取るための工夫だったのかもしれませんね。

聴けば秋刀魚を食べたくなる

秋の噺といえばやはり「目黒のさんま」。江戸時代には魚に格付けが存在しており、身分の高い人は格付けで上位に属する「鯛」や「白魚」、「鮎」などを食べていたよう。「目黒のさんま」に登場するお殿様も、普段は秋刀魚のような下賤な魚を口にすることはありませんでした。

ところが、目黒へ遠乗りに出かけた際に初めて秋刀魚を食べ、すっかり気に入ってしまいます。屋敷に戻って秋刀魚を所望するものの、出てきたのはしっかり蒸して小骨を取ったパサパサの秋刀魚。産地が違うから不味いのだ、というオチがつきます。

現代では、この噺をきっかけにした「目黒のさんま祭り」が毎年秋に開催されるなど、すっかりおなじみとなっている噺。「聴くとさんまを食べたくなる」「『目黒のさんま』は飯テロの域」という声が上がるほど食欲を刺激するようです。

人情噺の名作ぞろいの冬

冬に登場するのは「火事」「暮れ」「寒さ」を題材とした噺。勘当した息子が火消し人足となり、出火した家にたまたま火消しに来たことで両親と感動の対面を果たす「火事息子」、立川談笑師匠が「最も難しい!」という年末の大ネタ「文七元結」など、冬の噺は人情噺が多いよう。

また、拾った財布をネコババしようとした怠け者の男を嘘で立ち直らせる「芝浜」には、薄暗く寒い夜明けのシーンが登場するなど、あちこちに江戸時代の生活が見えます。人間国宝の当代柳家小三治の得意のネタでもあるので、運が良ければ冬の寄席で聴くことができるかも。

今回は、落語の住人たちが生きている四季を紹介してきました。寄席では事前に何の演目をやるかは分からないので、お目当ての噺が出来たらマメに通ってみましょう。

 

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