日常01. 木村硝子~コンテンポラリーな日本を映すプレミアムなモノとコト

2017.10.12
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インゲヤード・ローマン コレクション 写真左奥よりJUG LARGE ¥7,200、 JUG BOWL ¥9,500、 WINE AND WATER GLASS「 WATER」 ¥4,600、 WINE AND WATER GLASS 「WINE 」¥6,600、 JUG SMALL ¥6,500 、THE SET WATER ¥4,600 、THE SET WINE ¥4,600 、THE SET BOWL ¥6,900、THE SET PLATE ¥7,200 他に重ねて使えるWATER DECANTERとWATER GLASSがある/木村硝子店 03-3834-1781 www.kimuraglass.co.jp

日常01.

木村硝子店の「インゲヤード・ローマン コレクション」

 プロフェッショナルや目利きに愛される、機能と美しさを兼ね備えたグラス。1910年創業の木村硝子店のグラスの魅力を簡潔に紹介するとこうなります。その主な顧客は老舗料亭、レストラン、ホテル、バーなど。木村硝子店を代表する「コンパクト」という名前のついた極うすグラスは、かつて日本航空のファーストクラスに乗って空を飛んでいたこともあるとのこと。現在ではセレクトショップや直営店で誰もが商品を手に取ることが可能になり、ハンドメイドの繊細さと普遍的でシンプルなデザインで、プロフェッショナルや本物を知る人々に支持されてきました。

 今回ご紹介する木村硝子店の新作、インゲヤード・ローマン コレクションは、ワイングラス、ウォーターグラス、プレート、ボウル、ジャグ、デキャンタのアイテムからなる11点のガラス製品。北欧を代表する世界的なプロダクト・デザイナー、インゲヤード・ローマンのデザインでありながら、見事なまでに木村硝子店のモノづくりのDNAを表現しています。

 「日常的に使われてはじめて、デザインの価値が生まれる」と称されるインゲヤード・ローマンの作品は、美しさだけでなくその機能性も世界的に高く評価されています。「最初の使い手として、私自身が機能性を必要としているから」という彼女の言葉で、その理由は明らかでしょう。

 インゲヤード・ローマンと、木村硝子店現当主の木村武史社長との出会いは、今を遡ること15年前。木村社長のお嬢さんが、スウェーデンのインテリア会社で仕事をしていたご縁がそのきっかけとなりました。出会いから今日まで、スウェーデンで、或いは来日の折に、幾度も時間を共にして親交を深めた二人が、木村社長の誘いでハンガリーのガラス工場を訪れたのは昨年のこと。これは木村社長がかねてよりローマンさんに見せたかった意中のガラス工場へと、彼女を案内する旅だったのです。その予感通り、このガラス工場とローマンさんの出合いは素晴らしいものになりました。これを機にスウェーデン人のインゲヤード・ローマンがデザインし、ハンガリーの工場で作られた、日本の木村硝子店オリジナルのインゲヤード・ローマン コレクションの誕生と相成ったのです。

 木村硝子店は創業以来自社工場を持ちません。極うすグラス「コンパクト」は日本の工場、繊細なステムを持つワイングラスはヨーロッパの工場といった具合に、プロデューサー兼キュレーターの役割を果たしながら、それぞれのプロダクトにふさわしい工場を見極めてオリジナル商品を生産しています。そんな中で、「木村硝子店オリジナルのインゲヤード・ローマンのプロダクトを作るなら、このハンガリーの工場」、という見立てと確信が木村社長の胸中にあったのでしょう。

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 「日本的なものを作りたい?」。プロダクトデザインにあたり、ローマンさんは木村社長に尋ねました。社長の返事は「NO!」でしたが、1点1点のシェイプの簡潔さ、別々のアイテムを重ねて収納もできるコンパクトで機能的なデザインには、どこか日本的なものを感じずにはいられません。そして、その重なったシルエットの美しいこと!ひとつひとつのデザインはピュアでシンプルなのに、重ねたり集めたりしてみると、静謐な中に優雅な佇まいが漂います。

 目覚めて飲む一杯の水に、朝食のテーブルに並ぶ季節のフルーツに、夕食の時間を共にするワインに、使う人それぞれが思い思いの用途で楽しむ。そんなプレミアムな日常の光景が垣間見えるコレクションだと思います。

選・文 藤野淑恵

TOSHIE FUJINO エディター/ジャーナリスト  「W(ダブリュー)」日本版、「流行通信」、「ラセーヌ」の編集部を経て、2000年春に創刊した「Priv.(プライヴ)」(日経BP社発行)の編集長に。「日経ビジネススタイルマガジンDIGNIO(ディグニオ)」編集長、オウンドメディア「GENUIN(ジェヌイン)」の編集統括など、クオリティ・マガジンの編集に携わる。センテナリアン時代のクオリティ・ライフ実現に向けて新しいライフスタイルやロールモデルを紹介し、各自各様に誂え、整えるBESPOKE LIVINGを提案することが現在のミッション。趣味・関心事はガーデンツーリズム、ワインツーリズム、オペラツーリズム、フロマージュ、庭造り、オールドローズ、ジェロントロジー、保護犬など。