ハツコ エンドウ 遠藤彬社長インタビュー <<後編>>

2017.10.25
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銀座の美容・ブライダル業界を常に牽引してきた「ハツコ エンドウ」。その代表取締役である遠藤彬氏のインタビュー後編です。

<<前編>>では「ハツコ エンドウ」の歴史について語ってくださった遠藤社長。後編では常に進化し続ける「ハツコ エンドウ」にせまります。

 

― 遠藤さんの時代になってからは和装から洋装のブライダルが増えたと思いますが?

昔は和装が7、洋装が3の割合でしたが、やがて半々ぐらいになり、チャペル挙式の流行に伴い洋装がどんどん増えていったので、姉と一緒にパリやロンドンでドレスを買い付けに行き始めました。また渡辺雪三郎さんなど当時の日本を代表するようなデザイナーさん達にもウエディングドレスを作ってもらいました。その頃からハツコ エンドウではドレスも着物もクオリティにこだわったオリジナル商品を揃えていました。

 

ヴェラ・ウォン ブライド銀座本店― 1990年代には外資系のホテルとの契約が増えました。また2012年にはニューヨークの人気デザイナーのヴェラ・ウォンと契約し、「VERA WANG BRIDE銀座本店」を開店するなど新しいことにチャレンジされていますね。

ラグジュアリーな外資系ホテルは、プレゼンテーション方式でビジネスパートナーを決めていきます。それまでの日本のホテルの入札方式とは外資系は全く違いますね。ヴェラ・ウォン ブライドは日本でのビジネスパートナーを探されている時にお会いし、クオリティ優先の弊社のやり方に共感していただくところが多く、是非にとお話をいただきました。米国のモード界を代表するデザイナーですし、ブライダルの仕事をしている以上、トレンディなものを取り入れていくことは必要だと思うんです。

 

― 歌舞伎界とのつながりも深いと伺いましたが?

初代の頃より、梨園の方々とお付き合いがあり、多くの歌舞伎役者の方々のご婚礼のお支度を承っております。親子二代、三代にわたっての長いお付き合いをさせて頂いております。

 

― Hatsuko Endoのきものコレクションについてお話を聞かせてください
婚礼衣装のきものコレクションもかなりあるのですが、その多くは戦後、父と母が日本の古典作品を研究してデザインしたものです。大切な結婚式には花嫁衣裳も是非本物をお召しいただきたいとの思いで、京都の龍村美術織物さん、川島織物さん、田畑喜八先生など日本の伝統芸能を受け継ぐにふさわしい一流の制作者の方々とご一緒に創っていました。父は、昔の古典のパターンは素晴らしいといつも言っていましたね。これらを今後どのように使っていくかも課題ですね。

茶地立涌百合御所車  黒地花舟流水 段桧垣菊牡丹

― 今後の課題や目標を聞かせてください

現在はお客様からのニーズも多様化してきていますが、美容室では人手が足りなくなっている状況があります。お客様の来店が週末に集中するのが悩ましいところですね。労働基準法がオフィスワーカーもサービス業も同じというのも難しいところです。外国人の雇用も検討する必要があると思っていますが、業界の体質が古く、この問題を全体で考える機会がない、これが問題だと思います。

私としては、これまで培ってきたものは維持していきたいですが、これからはこういった美容業界の課題を解決できるような動きをしていきたいと思います。現在ハツコ エンドウの社員は女性が9割。結婚、出産後も続ける人が多く、まさに女性の会社です。そういった社員たちをサポートしていきたいのですが、ただ時短などのシステムではサービス業にはそぐわない。極端な話、金土日だけ働いてもらえればOKなのですが、それだと保育所が預かってくれない、会社で預かるにしても、銀座に子供を連れて来ることも現実的ではない。そういった制度上の問題を解決しないとと考えています。業界全体の取り組みなのですが、組合が弱いので、死ぬまでに何とかしたいですね(笑)

 

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10/22にハワイにも美容室をオープンされたそうですが、ハワイでもジャパンクオリティのきめ細やかなサービスを目指していくそうです。ハツコ エンドウの112年もの歴史を考えると、これまで培ってきたものを維持していくこと、しかし時代に合った新しい方向性に合わせていく、という難しい舵取りをファミリーを中心にしなやかに行ってきたことがわかります。遠藤波津子という名前を襲名してきたのも大げさな理由ではなく、その時の事情に即したものだったこと、会社の運営も女性が中心となって発展してきたこと、そして遠藤社長の時代に行った外資系ホテルへの出店や、海外デザイナーとの契約など・・・。今後もハツコ エンドウからは目が離せません。

 

<プロフィール>

遠藤波津子グループ
代表取締役社長
遠藤 彬(えんどう あきら)

1943年生まれ。四代目遠藤波津子の次男として東京に生まれる。
慶応大学商学部卒業後、札幌テレビ放送 株式会社に入社。1973年、株式会社遠藤波津子美容室入社、常務取締役に就任。1993年、株式会社遠藤波津子美容室 代表取締役社長、株式会社遠藤波津子きものさろん(現 株式会社ハツコ エンドウ ウエディングス)代表取締役社長就任、現在に至る。
1980年代、婚礼衣装が洋装に変わるのに伴い、銀座に「遠藤波津子ウエディング・コレクション」を開店し、常に数百着のドレスが用意されたショールームで、ゆっくりと衣装が選べるスタイルを確立。また1990年代には日本の老舗ホテルとの関係を維持しながらも、外資系ホテルへの出店をスタート。婚礼衣装以外にも、一般美容室、婚礼美容室、エステティックなど多様なニーズに対応するべく事業を拡大した。
また、ライフワークとして銀座通連合会の副理事長、理事長及び全銀座会代表幹事を歴任し、2016年6月より会長に就任。「銀座街づくり会議」、「銀座デザイン協議会」を設立し、銀座の街の様々な活動に日々携わっている。
2020年の東京オリンピックに向けて設立された「全銀座オリンピック・パラリンピック対応委員会」委員長を兼任。

 

インタビュー・文 編集長 島村 美緒