エリア特集~銀座編~地道な活動を通じて未来を見据える、“銀座人インキュベータ”≪後編≫

2018.01.10
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田さん自身が銀実会に入会したのは、31歳の時。地元の生まれとはいえ、当時は同世代との横のつながりはほぼなかったのだそうです。「銀実会は、銀座というキーワードで繋がる、言わば学校のような場所。年齢の近い友人ができ、商売を抜きに銀座人としてみなで“銀座の未来”を語り合うことができる、得がたい集まりです。これを作って、つなげて下さった諸先輩には、本当に感謝しています」。吉田さんは、会員である『銀座 松崎煎餅』の松崎宗平さんや『空也』の山口彦之さんらとこんな話をしたそうです。「今の銀座はゴールになってしまって、外へ飛び出していくことがない。昔のようにまた、銀座から発信していかなくちゃ」と。

確かに外資系ブランドが数多く進出し、都内のみならず地方の飲食店も銀座へ出店する昨今。確かに銀座は、ある種のアガリの場になっています。「銀座が、スタートにならなくちゃ」。そう、吉田さんは言います。銀座の地価は上がる一方だが、はたして文化的価値や品質は上がり続けているのか?現状維持しかできていないんじゃないか?そんな問題意識と危機感を、銀実会のメンバーは30代という若い時期に既に共有しているのです。

 

た日本一有名で巨大な“商店街”としての自負と矜持を忘れず、「大手デベロッパーに牛耳られることなく、先輩からのバトンを確かに受け取り、これからも我らの手で銀座を作ってつなげていく」という思いも強いのだそう。「代々続く家の者が銀座への思い入れや執着が強いのは、当たり前。さらに外から入ってくる初代の方々に加わってもらい銀座を理解してもらうのも、銀実会という組織の役割です。また初代の持つ新しい視点で、銀座の外側からの刺激をもらうことも大事にしています」。

現役会員はまた、親睦会等を通じてOBとも親しくなり、横だけでなく縦のつながりも深くなる。銀実会は銀座人を育てるインキュベーションシステムでもあります。


銀実会 現役会員とOBのみなさん


事長職は1年任期。選挙と互選で選ばれるのも、銀実会の特徴です。理事長を務めたこの1年は銀実会の仕事でも多忙を極め、本業である環境機械の貿易業や不動産業と、時間的には半々を割かねばならぬほどだったそう。「単年度で見れば、営業のための出張もあまり行けず、社員には苦労をかけました。でも大きな流れで考えれば、非常に有意義な一年でしたね」。

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「お坊ちゃん、お嬢ちゃんの暢気な集まりと思われることが多い」と自嘲する吉田さん。しかし実際の銀実会は、ボランティアで地道な役割を担い、銀座を影ながら支えている組織なのです。「銀座の旦那衆や女将さんが邦楽を発表される『銀座くらま会』というのがあるのですが、まぁ言うなればひとつの最終形(笑)。まだまだ、そんな優雅な世界は私には早いですよ。30年後には、そうしていたいですけどね」。



お話をうかがった人:吉田明記さん(銀座吉田株式会社 取締役)

2000年慶應義塾大学商学部商学科卒、(株)インテリジェンス入社後、2005年ノースカロライナ大学(グリーンズボロ校)大学院会計学修士課程修了(首席)、2008年入社、同年取締役就任。

 

インタビュー 編集長 島村美緒 文 木原美芽