秋田県乳頭温泉郷 鶴の湯温泉:「プレミアム温泉」vol.18 石井宏子

2016.01.09

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真っ白な温泉に降る真っ白な雪

なぜ、日本人はこんなにも温泉が好きなのでしょうか。はらりはらりと雪が降る中、何も外で温泉に入らなくても、と思うはずなのですが、さにあらず。みんな幸せそうに露天風呂に入っています。真っ白な雪の世界で真っ白な温泉に首まですっぽりと浸かって、舞い降りては消える雪の粒をぼーっと眺める、それこそが冬の温泉の醍醐味、まさに至福の瞬間なのです。ぷく、ぷくぷく。白い湯面に波紋を広げて源泉が湧き出しています。自然湧出する温泉そのものが露天風呂になっているのです。今ここで地球から生まれ出た温泉そのものに浸かれる極上の幸せがここにあります。この山の中の秘湯の噂は静かに静かに広まっていき、今や世界中の旅人が憧れる場所になっていったのです。

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そこにあるのは秘湯という名の楽園

山道を進みようやく辿り着いた旅人を迎えてくれる「本陣 鶴の湯」の門。ここが浮世と楽園をつなぐ結界です。楽園のコスチュームは浴衣。タオルをパスポートに温泉を巡ります。宿には4種類の源泉があり、美人の湯の“白湯”・子宝の湯の“黒湯”・眼の湯の“中ノ湯”など、それぞれ露天風呂や内湯で入り比べができます。どちらも白い濁り湯の硫黄泉ですが、微妙な感触や色、温まり方の違いなどを確かめながら楽しみます。入って少しすると、硫黄の働きでみるみる血行促進、ぐぐっと体の芯まで温まってぽっかぽかです。女性専用の露天風呂も足元から温泉が自然湧出、広々していてゆっくり入れます。

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囲炉裏付きの部屋で秘湯の夜を満喫

この宿は泊まり方のバリエーションが豊富です。6畳一間でおひとりさま滞在もできる湯治棟、昔の日本の民家に泊まる気分になれる平屋の本陣、大人数の部屋もある一号館、部屋の囲炉裏でゆっくり食事もできるお部屋もあって、静かに秘湯の夜を楽しむことができます。炭火でじっくりじっくり時間をかけて焼き上げる岩魚はふっくらジューシー。名物の山の芋鍋は、きのこや野菜もたっぷり。地元の山の芋を団子にして、自家製味噌仕立てでいただく御馳走です。もっちもちの山の芋、甘味とコクのある味噌が絶品。秋田のとろんとした日本酒で徳利を傾けて楽園の夜が更けていきます。

 

乳頭温泉郷 鶴の湯温泉 
http://www.tsurunoyu.com/

 

取材・文・写真/石井宏子

【石井宏子の〈プレミアム温泉〉】一覧記事はこちら
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【石井宏子の〈ここにしかない日本〉】一覧記事はこちら
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石井PP3《プロフィール》

石井宏子 

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト

温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。生涯旅人の人生をスタートして年200日ほど日本・世界を旅する。雑誌やサイトなど多数の 連載コラムを執筆、テレビ・ラジオにも出演。温泉地の自然環境にも着目し、ドイツにて「気候療法士」資格を取得。温泉、水、自然環境、食事など旅を通じて、心も体もきれいになる新しい旅“ビューティツーリズム”を提唱。外資系化粧品会社、海外ブランドのマーケティング・広報の経験を生かし、温泉地のブランディングや企画もサポート。プレミアムジャパン“PREMIUM JAPAN”のトラベル・キュレーターに着任。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会 員、日本旅のペンクラブ会員、公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

 

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