旅行

黒川温泉 旅館 山河 :「プレミアム温泉」vol.22 石井宏子

2016.01.30

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薄霞のような朝の露天風呂でほんわりと温まる

雑木林の中に点在する湯小屋や露天風呂。木々の緑を映しこむ温泉は、ほんのり薄霞のような「うす濁りの湯」。湯けむりに朝の光が差し込んで手招きしているようです。

わたしがこの宿へ通ってしまう理由は、温泉の力。新鮮なお湯は、表面張力があるのではないかと感じるほどのハリがあり、ぎゅっと抱かれているような重みを感じます。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉。体の芯まであたたまる塩化物泉、肌すべすべの炭酸水素塩泉、保湿の硫酸塩泉を全て含有するグッドバランスの湯。横に流れる渓流の優しい水音や目覚めたばかりの小鳥の声、さわさわと葉っぱを揺らす風の音。ここへ来てよかったとしみじみ思う瞬間です。

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隠れ湯の里の住人になったような

山里の森の道を進むと秘湯を守る会の提灯が灯る趣ある玄関。3000坪の敷地は、花が咲き、秋には鮮やかに色づきドングリが実るコナラの森。かつての山を再現しようとコツコツと植えたそうです。茅葺屋根の古民家があり、宿泊する離れや、貸切風呂のある湯小屋、露天風呂など7つの温泉が点在しています。

2種類の源泉があり、古くからこの場所に湧く源泉「薬師の湯」は風情ある内湯で。こちらは単純硫黄泉。ほんのり香る硫黄と鉄分、少しぬるめでやわらかくて全てを忘れてぼーっとできる温泉です。温泉は飲むこともできて、内臓までほっこりと温まります。硫黄と鉄分のパワーで気がつけば手足の先までぽかぽかと血行促進。心からも体からも要らないものがすっと温泉の中へ流れて消えてしまうようです。

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世界中からゲストが集まる温泉の魅力

幸せな宿の空気感は、そこで過ごすゲストたちが創りだしているということが、ここへ泊まるとよくわかります。平日でも満室の人気宿、スイスやドイツなどヨーロッパのゲストも多く、温泉に浸かった後は、パラソルの下で浴衣姿でのんびりと地ビールを飲んで寛いでいます。

1人でも気軽に泊まれる和室から、露天風呂付の優雅な離れまで宿泊スタイルも多彩。離れ「ねむの木」は太い梁が印象的なベッドルームと和室、渓流に面したデッキには露天風呂、さらに切石の内湯もあって全て源泉かけ流し、静かに温泉休日を過ごしたい時におすすめです。

地元・阿蘇小国の農家で作るカラフルで美味しい野菜や、熊本名産馬刺、阿蘇あか牛ステーキなど、幸せ三昧な晩餐。地ビールや黒川オリジナルの葡萄酒、ビオワインや熊本の地酒、黒麹仕込芋焼酎なども揃っています。

もうひとつ、さすが!と感激したのは、完全マクロビオティック対応の会席も事前予約でお願いできること。これがまた常識を覆す、美しさと美味しさ。日本の温泉でヘルシーに過ごしたい世界のゲストにも人気です。

 

黒川温泉・旅館 山河
http://www.sanga-ryokan.com/

 

取材・文・写真/石井宏子

【石井宏子の〈プレミアム温泉〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/hiroko-ishii/

【石井宏子の〈ここにしかない日本〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/hiroko-ishii_reports/

石井PP3《プロフィール》

石井宏子 

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト

温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。生涯旅人の人生をスタートして年200日ほど日本・世界を旅する。雑誌やサイトなど多数の 連載コラムを執筆、テレビ・ラジオにも出演。温泉地の自然環境にも着目し、ドイツにて「気候療法士」資格を取得。温泉、水、自然環境、食事など旅を通じて、心も体もきれいになる新しい旅“ビューティツーリズム”を提唱。外資系化粧品会社、海外ブランドのマーケティング・広報の経験を生かし、温泉地のブランディングや企画もサポート。プレミアムジャパン“PREMIUM JAPAN”のトラベル・キュレーターに着任。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会 員、日本旅のペンクラブ会員、公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

 

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