五稜郭の星型:「美しき城」vol.14 萩原さちこ

2016.05.02

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幕末に築かれた、スター型の城

函館のシンボル、五稜郭。幕末の歴史や新選組が好きな人なら、箱館戦争の舞台として耳にしたことがあるでしょう。「これも城なの…?」と疑問の声が聞こえてきそうですが、軍事目的で建造された、れっきとした城です。五稜郭というのは通称で、正式名称は亀田御役所土塁または箱館奉行所。五稜郭とは星型の設計をした城の総称です。ですから、同じように星型をした龍岡城(長野県佐久市)も五稜郭といいます。ちなみに、函館には四稜郭もあります。

五稜郭が完成したのは、幕末です。1853年(嘉永6)、鎖国を貫いていた日本にペリー艦隊が上陸。翌年に日米和親条約を締結すると箱館と下田の開港が正式に決定し、幕府の外務省にあたる箱館奉行所は外国との交渉の窓口になりました。そこで、箱館の港を見おろせる場所(現在の元町公園)から、より安全な丘陵地に移転したのです。戦国武将が自分の領地につくる城とは違い江戸幕府が直轄地に防衛施設としてつくった役所ですから、一般的な城とは少し性質が違い、天守もありません。

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