旅行

東鳴子温泉 旅館大沼:「プレミアム温泉」vol.38 石井宏子

2016.05.28

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ぼんやり日暮れを待つ忘我の湯

源泉は湯船の下から静かに注がれて流れ出ています。水鏡になった湯面に緑が映り込み、その中に分け入るように入ります。時折、間欠泉のように湯口からも熱い源泉が注がれてきます。竹筒の先から細く流れ落ちる温泉がゆらゆらと波紋をつくり、それが湯船の淵へ届くまでずっと眺めています。ケケ、ケケケケケ。水庭で蛙が鳴いています。さわさわと桜の葉を揺らす風が、心地よく肌へあたります。宿泊者専用の庭園貸切露天風呂「母里の湯」は、心を洗う場所。この上にある山荘のお茶室の一部でもあるのです。

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