今治城の広い水堀:「美しき城」 vol.19 萩原さちこ

2016.06.06

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瀬戸内海と一体化した “海城”

今治城の特徴は、なんといっても広大な水堀です。幅50〜70メートルにも及ぶ水堀は、まるで巨大なプールのよう。堀を泳いで渡れと言われても躊躇してしまうでしょう。泳ぎきる前に、きっと城内から狙撃されてしまいます。

水堀を眺めていると、まるで生きているかのように、なめらかにゆらゆらと波打っていることに気づきます。水面がたゆたうのは、瀬戸内海から海水を引き入れているから。今治城は、面する瀬戸内海を取り込んだ水城(海城)なのです。その証拠に、瀬戸内海から迷い込んだクロダイやヒラメなどが水堀のなかを悠々と泳いでいます。ときには威勢のいいボラが水面から顔を出すことも。昨年にはなんと、サメが姿を現して話題になりました。

天守最上階から見渡せば、この城が瀬戸内海と一体化した城であることがわかるでしょう。瀬戸内海はすぐそこに迫り、来島海峡大橋も臨めます。水堀は城の中心部を取り囲む内堀、その外側に中堀、さらにその外側の外堀と三重に設けられていて、中堀の一部が舟入となって外堀を通じて直接海へ漕ぎ出せました。現在残っているのは内堀のみですが、今でも干満に応じて海水の入れ替えができるように工夫されています。今治市役所近くのドンドビ交差点は、海水の流れをせき止める樋門「呑吐樋」跡。今治銀座、金星川、金星橋、金星町が外堀跡です。

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