旅行

坂の上の家で暮らすという旅へ

2015.10.17

湊メイン

「湊」の暮らしを感じてみたい

 暮らすように旅するという新しい日本の旅のスタイルが広まってきました。旅の仕方も個人旅行が増えてきて泊まり方のニーズも多様になっています。何を求めて旅にでかけますか?という問いかけに、ライフスタイルへの意識が高い人ほど、地域の文化や知恵を知りたい、その土地の暮らしを垣間見たい、という答えが返ってくるようになってきています。旅館やすてきなリゾートへも行きたいけれど、今回はちょっと違う旅をしてみようか。時間をゆっくりとって尾道の湊町の歴史を感じながら、ステキに暮らす気分で過ごせる「泊まれる一軒家」があります。

 

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歴史ある建物を様々な建築家が甦らせるプロジェクト

「せとうち 湊のやど」はただ今2棟、洋館の島居邸は明治期の豪商・島居氏が所有していたもの。レンガ色の瓦屋根にアースカラーの洗い出しの外壁、モダンな円窓、アーチ型のバルコニー、首相官邸と同じタイルを使っているという外塀など昭和初期の洋風建築の外観を生かしつつ、広島生まれの建築家・桐谷昌寬氏が改装を手掛けました。部屋は縦割りでどちらも1階と2階があるメゾネットスタイル、東側は1階にオープンキッチンを配した広いリビングがあり、バルコニーからの尾道水道の眺めを楽しめる「望(ぼう)」、西側は蔵だった場所の名残りを生かした吹き抜けのダイニングと和空間のコントラストが印象的な「蒼(そう)」。

 お隣のもう1棟は一転して日本建築。苔むした庭石をたどって玄関へ入る情緒たっぷりのアプローチ。江戸時代、石見銀山の銀は“銀山街道”を通り尾道で北前船にのせて運んだという交易の拠点。「出雲屋敷」と呼ばれていたこの家は、出雲国松江藩の役人が常駐する出張所だった場所。1階の茶室や2階の広間は当時の賑やかな交流の余韻を感じさせます。こちらは茶室や数寄屋、坪庭の研究者として名高い・中村昌生氏が監修。華やかな時代の建築の知恵や手法を大切に残しながら趣ある空間になっています。

 

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一軒家の賃貸契約をしてチェックイン

旅館やホテルとは異なり、チェックインは賃貸契約書にサインをして行い、その後は自由な“おのみち暮らし”がスタート、館内にはスタッフも常駐しません。湊町で買い物をしてキッチンで料理してもいいし、外で食事がしたい場合は、町家コンシェルジュが実際に行って調べた食事処のおすすめを教えてくれます。せっかくすてきな家だから中で過ごしたいという時には、せとうちの山海の幸を堪能できる仕出し弁当を頼むこともできます。

このプロジェクトを始めてみると、意外にもその利用法は様々。暮らすように旅を楽しむ“ひとり旅”のロングステイや、日本の暮らしに興味のある海外ゲスト、さらに一棟貸切なら島居邸洋館は14名、出雲屋敷は12名まで宿泊可能なので、大人数で1棟借りをして泊まる若いグループも増えてきているそうです。

 

せとうち 湊のやど

http://minatonoyado.jp/

取材・文 石井宏子

http://www.onsenbeauty.com

写真  鈴木さや香

 

石井PP3

《プロフィール》

石井宏子 

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト

温 泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。生涯旅人の人生をスタートして年200日ほど日本・世界を旅する。雑誌やサイトなど多数の 連載コラムを執筆、テレビ・ラジオにも出演。温泉地の自然環境にも着目し、ドイツにて「気候療法士」資格を取得。温泉、水、自然環境、食事など旅を通じ て、心も体もきれいになる新しい旅“ビューティツーリズム”を提唱。外資系化粧品会社、海外ブランドのマーケティング・広報の経験を生かし、温泉地のブラ ンディングや企画もサポート。プレミアムジャパン“PREMIUM JAPAN”のトラベル・キュレーターに着任。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会 員、日本旅のペンクラブ会員、公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

 

 

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