石井宏子の<ここにしかない日本>「星のや東京」本日オープン

2016.07.20

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大都会にそっと置かれた小さな重箱

美しい蒔絵が施された重箱がぽつんと置かれていたら、一体何が入っているのだろうと、誰しもが、その中を見てみたいという衝動にかられることでしょう。しかも、それが3段重だったら、ひとつ、ふたつ、みっつと全部開いてみたくなるはず。そんな雰囲気を持つ「日本旅館」が都会の真ん中に本日、7月20日に誕生しました。

星のや東京があるのは大手町のオフィスビルに囲まれた一角。この宿のコンセプトは“塔の日本旅館”。樹齢300年を超える青森ヒバの大きな板で造られた扉を入ると、その先に幾重にも重なる「ここにしかない日本」が待っていました。

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オフィス街の真ん中で味わう静寂

1フロアに6つの客室とそのゲストだけの専用ラウンジ。このスタイルが重なった造り。部屋は3タイプあり、約80㎡の「菊」は、ごろりと寛げるソファやダイニングテーブル、書斎デスク、ウォークインクローゼットといったホテルスタイルの快適さもありながら、この宿のために特注したローベッドのような「布団」、障子の光、坪庭のあるバスルームなど日本旅館ならではの癒しも味わえます。

約50m²の「桜」はツインとダブル仕様が選べ、「百合」は角部屋。シースルーのバスルームは黒いバスタブがシック。ボタンひとつで遮光し、完全なプライベート空間へと変わります。栗の木の椅子は、なめらかなカーブが心地よく、星のやらしいインテリア。脚が角竹で作られた黒いローテーブルも“今”を感じさせる日本空間の小道具です。障子を開ければ、都会のビル街。そこから注ぐ光が江戸小紋の紋様を映し出し、得も言われぬ揺らぎ。静寂の中にいる至福を実感できる瞬間です。

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琥珀色の温泉に身を委ねて月光浴

最上階に降り立つと印象的なオブジェ。巨木の切株のように見えるけれど、よく見ると切り出したヒバを組み合わせて作られた特別なもの。たとえて言えば、城の石垣のようにぎっしりと組まれていて美しい。男女別の温泉は新たに掘削されて話題となった大手町温泉を引いています。

琥珀色のとろんとした温泉は、ほんのりと潮や土の香り。泉質は、含よう素-ナトリウム‐塩化物強塩泉。pH7.48弱アルカリ性。平成26年度に温泉法が改正されて新しく泉質として加わった「よう素」を含み、塩成分が濃厚な温泉です。よう素は海のミネラルでもあり、殺菌や温まりが期待できる成分、濃い塩の成分は体の芯まであたためて血行を促進してくれます。

内湯から続く露天風呂は、ぽっかりと開いた空を見上げる独特な世界観。都会の空に浮いているような開放感とお湯に包まれている安堵感が交互にやってくる不思議な癒し。一晩中入れるから、夜はここで都会の月でも眺めて月光浴。「絶対に、また来よう」そんな思いにときめく温泉です。

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