旅行

丁寧な懐石料理と温泉で寛ぎを。「新・海花亭いずみ」

2016.08.20

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まずは「料理」のリニューアルに着手

宿のオーナーが変わり、これまでの旅館をリニューアルして新しいスタートを切る。そんな時、どこをどうリニューアルしていくか?ということでも、その宿のオーナーの思いやこだわりが解り、それがその後の宿の個性となって行くことがあります。新・海花亭いずみとして2016年6月にリニューアルオープンしたこちらの宿が、最初に着手したのは「料理」のリニューアル。豊かな食材に恵まれた西伊豆・土肥温泉なのだから、温泉もお料理もゆっくりと楽しめる宿にしていこうと考えたのです。そんな時に出会ったのが、総料理長を務めることになった石井健康さん。銀座の高級料亭で総料理長を務めていた時代は4年連続でミシュランガイド1つ星を獲得した経歴を持つ料理人です。

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土肥の魚や伊豆の食材が楽しくて仕方がない

石井料理長にお話しをうかがってみると、料理人として銀座で活躍していた時に、突然の難病に襲われ、頚椎の不調から思うように包丁が握れなくなり、第一線を退く決意をしたことがあったそうです。ところが偶然その病の名医に出会い手術を受けて、めでたく完治。ご本人曰く「前よりもずっと元気になってしまって」、独特な食材の宝庫である伊豆で料理をする新しい挑戦を始めることになったとか。食事処にはオープンキッチンになっている場所があり、魚を焼いたり、料理を仕上げたりという様子を垣間見ることができます。

ダイナミックな地形が続く伊豆半島の西海岸。およそ60万年前に火山島がフィリピン海プレートの移動とともに本州にぶつかり伊豆半島になったことから、そのプレートの境目となる駿河湾はとても深くて、水深2500mにも達する日本一の深海湾です。サクラエビやタカアシガニなど珍しい魚も含めて1200種類もの魚類が生息する豊穣の海なのです。「ここへ来て、初めて触る魚もたくさんいる。毎日が楽しくて仕方がないですよ。」

伊豆は魚だけではないと感じさせる前肴。伊豆鹿の塩糀焼や天城船原の里で出会ったお母さんが育てるニワトリの卵は黄身がウニのごとく濃厚で甘い。銀座の料亭時代の人気料理でもあった鮑かゆは茶蒸し仕立てで。柚子胡椒の辛味が効いていて、ちょっとしたサプライズ。駿河湾産の桜エビは土肥椎茸と一緒に炊き込みご飯で。

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