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福山城の伏見櫓:「美しき城」 vol.32 萩原さちこ

2016.09.05

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新幹線が通り抜ける城

全国で1、2位を争う、駅近の城です。山陽新幹線福山駅の上りホームが、ベストビュースポット。同じ目線で重要文化財の伏見櫓やそびえる石垣を眺めることができます。城とホームが驚くほどの至近距離で隣合わせなのは、線路やホームがかつての城内を貫通しているから。実は、JR線の線路は二の丸と三の丸間の内堀を利用して設けられたもので、新幹線のホームは内堀を隔てた三の丸に建てられています。福山駅南口では、舟が瀬戸内海の入り江から水路を通り城の敷地内に着岸できる「舟入」の遺構も発見されています。

福山城が築かれたのは、1619(元和5)年のこと。1615(元和元)年の武家諸法度公布後、城は改修・増築にまで幕府の許可が必要になりますから、新築された福山城はかなり特例です。それは、福山城が海陸両面の要衝にあり、安芸の浅野氏や長門の毛利氏、薩摩の島津氏など有力な外様大名がひしめく西国の鎮護という戦略的・政治的に重要な役目を担っていたからです。

築城者は、徳川家康のいとこにあたる水野勝成。外様大名の福島正則に代わり、備後10万石で入りました。水野氏、松平氏、阿部氏と、福山城の歴代城主はいずれも譜代大名です。徳川幕府にとって、いかに重要視された城だったかがうかがえます。

 

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