石井宏子の<ここにしかない日本>【長崎】フレンチ島宿レストラン「オーベルジュあかだま」

2016.10.01

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この朝食のために。長崎へ・・・。

思い出しただけで涙がでそう。いえ、旅に出てしまいそう?今すぐにでも。と、わたしの心をとらえて離さないのが、オーベルジュあかだまの朝食です。どんなに忙しくても、どんなに遠くても、どうしてもこの宿へ出かけたくなる理由、それは、これまで食べたことのない、ここにしかない朝食があるからです。

大島・寺島は長崎と橋でつながっています。かつては渡し船に乗らないと行かれなかった場所。祖父の代からの「赤玉食堂」は大島で獲れる魚を美味しくいただける店でした。その食堂の息子として生まれ育った中村さんが修行を積んで島に戻り、大島と繋がる寺島の山の中へ移って開いたのが「フレンチレストラン あかだま」。レストランの玄関にある「あかだま食堂」の看板に地元食堂の誇りを感じます。

「お客様が魚を連れてくる」とおっしゃった言葉が印象的でした。毎朝、島で獲れた魚を仕入れ、その日の一番美味しいものを料理にして出しているから、その日のメニューはお客様の運次第でもあるというのです。つまり“持ってる人”は美食にありつけるというわけ。「今日はどんな魚が入ってる?」島の食堂だったら当たり前の毎日が、この宿でも続いているのです。

 

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