そろそろ浴衣じまいの時期。今宵は浴衣のお手入れ情報:「今宵も盆悩まみれ」 vol.28 佐藤智彦

2016.10.07

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お気入りの浴衣、ぜひ愛情とともに一手間かけてケアしよう!

めっきり秋らしさを感じる毎日が続き、夏男としてはなんとも寂しい限りである。まだイベントや集いで浴衣を着る機会はあるものの、さすがに彼岸もはるかに過ぎたこの時期、浴衣で外出することは皆無だ。そろそろハンガーに掛けっぱなしとなっている浴衣もしまわなければいけないなぁ。

夏祭りや花火大会など、シーズンに一度か二度しか浴衣を着ない方にとっては、浴衣はクリーニングに出すものという認識があるかも知れない。ところが我々盆オドラーにとって、浴衣はジャージやTシャツ同様、頻繁に洗濯することが常識だ。特に大汗かきのボクにとっては、盆踊りから帰宅しすぐ洗濯、寝る前に干して朝には取り込む、そうした流れがルーティーンになっている。実は浴衣は家で簡単にお手入れができるのだ。

クリーニングに出してしっかりプレスされた浴衣に袖を通すことは確かに心地よいのだが、浴衣の汚れの多くは汗で、ドライクリーニングよりも水洗いの方がさっぱりする。前置きが長くなったが、今回は浴衣のお手入れについて紹介したいと思う。

20161007_2我が家ではオリーブオイルで作られたマルセイユ石鹸のフレークと、これを使った「汚れ落とし用ゲル状石鹸(仮)」も大活躍だ

浴衣を洗濯する前に、まずは衿や袖、裾といった汚れが目立つ箇所の事前洗いがポイントだ。染抜き剤や、純度の高い洗濯石鹸を塗ってもみ洗いしてから洗濯することで、たいていの汚れは落とすことができる。ちなみにボクは自家製の「汚れ落とし用ゲル状石鹸(仮)」を古い歯ブラシにつけてケアしている。この謎めいた石鹸は、30度から50度程度のぬるま湯500mlに対し、粉石鹸(合成石鹸ではない)50gほどをよく溶かし、数時間放置したもの。ゼリーやババロアのような、弾力のあるゲル状に固まるのだ。これを適当な大きさのプラスチック容器に作っているのだが、衣類以外に洗面所や風呂場といった水回りの蛇口や壁の汚れ落としにも効果的だ。

20161007_3「本だたみ」した後、洗濯用ネットに収まるサイズにたたむ手間を惜しまなければ、仕上がりに格段の差が生まれるのだ

次に浴衣を「本だたみ」にすること。つい丸めて洗ってしまいたくなるが、このひと手間を惜しまないことで、洗った後シワの少なさに歴然の差が現れる。「本だたみ」とは和服本来のたたみ方で、ネットでも様々なサイトで紹介されている。平面裁ちで仕立てられているからこそ、コンパクトにたたむことができるのだ。
たたんだ後の浴衣はたらいなどで手洗いするのもよいが、ボクはもっぱら洗濯機を使用する。その際は洗濯ネットを使い、できるだけ形崩れしないように心がけたい。

ところで仕立て上がりの浴衣をはじめて洗う際や、仕立て前に水通しを行っていない浴衣を洗う際には、色落ちする可能性が高い。特に注染(ちゅうせん)や藍染の浴衣はしばらく色の出ることが考えられる。必ず単独洗いをするか、同系色の衣類と洗うことが必須だ。
余談だが「水通し」とは、仕立て前に綿や麻生地の反物を水に晒し、生地を縮めるとともに余分な染料を落とす作業のことで、通常呉服店や悉皆(しっかい)屋が対応してくれる。浴衣を仕立ててから丈がつんつるてんに縮んでしまうことを避けるためにも、しっかりめに水通しをしておくことで、お気に入りの浴衣をより長い期間快適に着用することができるのだ。

 

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