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「今宵も盆悩まみれ」 vol.36

盆踊りが紡いだ新たな縁。今宵は自分の大きな変化の話:盆踊りキュレーター 佐藤智彦

2016.12.02

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盆踊りがきっかけではじまった、和服生活と日本文化への傾倒

4月にこの連載をスタートして早8箇月。盆踊りの始まる季節を今か今かと待ち続けていたあの頃から時は流れ、毎晩踊っていた日々は何処?と感じつつ、師走の慌ただしい世間の波に揉まれる日々へ突入。思えば一年の半分を盆踊りに明け暮れる生活になって5年、ボクの生活はすっかり変わってしまった。

盆踊りに目覚めた自分がそれ以前と大きく変わったことといえば、今まで以上に日本文化に興味を持ったこと、そして神社仏閣へ足繁く通うようになったこと、そして地域社会への繋がりが持てたこと。

今週は「盆踊りが紡いだ新たな縁」として、この3つの大きな変化について、いつも以上に自分のことを語ろうと思う。

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10代で初めて購入した紺の浴衣と、数年前に仕立てた色違いである白の浴衣。竺仙定番の「三枡と隈取り」柄

ボクが浴衣に興味を持ったのは、高校一年の時。その頃盆踊りのことは全く頭になく、あくまで地元の花火大会へ着て行くのが目的だった。

もちろん10代の自分には反物から仕立てるという発想はまったくなく、あくまで仕立て上がりの浴衣を選ぶのが精一杯だったのだが、当時から現在とほとんど体型が変わっていない大柄ゆえ(つまり既に規格外の体型だったということ!)今でも時折着ることがある。
当時はおめでたくも着映えすると感じて気分をよくし、以降毎年1枚は浴衣を購入するようになった。

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6月に名古屋・有松で開催される【有松絞りまつり】。値打ち品の反物が並ぶ問屋の軒先

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7月に浴衣で出かけたいイベントの一つ、【入谷朝顔まつり】

ところが時はバブル期、DCブランドブームの頃。今となっては袖を通すことも恥ずかしいような、時代を感じる洋服のような柄の浴衣に手を染めてしまったこともあった。

その後しばらく浴衣を着ない時期が続いたのだが、とある国際交流のボランティアに参加するようになり、そのパーティの時に浴衣を着ることで外国人の受けもよく、再び浴衣への興味と着物への挑戦欲(?)が湧いてきたのだ。

ちなみに人生初の仕立てで作った浴衣は、現在アフガニスタンの友人の手元にあり、彼の地で日本文化を知ってもらうきっかけの一つとなっていることと期待したい。

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岐阜・郡上八幡ほど浴衣がよく合う町もないだろう

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7月上旬から9月上旬まで、町内の場所を変えて32夜踊り続けられる郡上おどり

その後盆踊りと出会い、毎年踊り用に浴衣を仕立て、趣味の一環としてはじめた着物生活もそこそこ板についてきている(と願いたい)のだが、こうした和服生活をはじめることで日常的な所作を気にすることはもちろん、歌舞伎や能といった日本の伝統芸能への興味や、工芸品への関心など、今まで以上に敏感になったことは間違いない。

特に男の和服は帯を腹の下に締めることから、洋服の時よりも締め付けが少ない。ドラム缶体型のボクにとって「着物で居酒屋」はもはや定番であるが、このあたりの話はまた別の機会に語れたら、と思う。

 

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