今宵は、河内音頭・江州音頭の名物踊り子インタビュー:盆踊りキュレーター 佐藤智彦

2016.12.16

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大阪の踊り場で知らない者のいない名物おばちゃん・とび喜代さん

「郡上おどり」や「白鳥おどり」など、ボクがこれまでにはまった盆踊りは数々あれど、「好きな踊りは?」と尋ねられた時に真っ先に答えるものの一つが大阪の「河内音頭」である。

音頭取りによる人情ものの口説が、聴いて楽しく踊ってさらに盛り上がる河内音頭であるが、ボクは10代の頃にCDで聴き始め、最初は自分が踊ることになるとは想像さえしなかったものだ。ところが5年前はじめて【すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り】に参加して踊る魅力に開眼、以降毎年参加することを心待ちにするようになった。

その記念すべき「初踊り」の際、友人たちと参加するボクに「兄ちゃんたち一緒に写真撮ろ!」と気さくに声をかけてくるおばちゃんがいた。かなり派手な格好にぴょんぴょん飛び跳ねるような踊り。そして人懐っこさもあって多くの音頭取りに愛される名物おばちゃんだと知ったのはそれから随分後のことだ。その後しばらくお話しする機会がなかったものの、今年の春ボクが大阪へ行った際にひょんなことで再会し、以降親しくさせていただくようになった人こそ、河内音頭や江州(ごうしゅう)音頭の踊り場で必ず見かけるといって過言でない「とび喜代」さんだ。

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とび喜代さんとはじめてお会いした【すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り】

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今年偶然とび喜代さんと再会した東大阪・瓢箪山。駅正面には奈良との県境である生駒山の姿が

思えば錦糸町の恐怖さえ感じる踊りの輪へ抵抗なく飛び込めるようになったのも、とび喜代さんとの出会いがきっかけだったのかも知れない。そんな彼女が盆踊りに目覚めるきっかけや、河内音頭・江州音頭に対する思いはどのようなものなのか、話をきいてみることにした。

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太鼓を叩きながら江州音頭を踊る「太鼓踊り」の練習中

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【生駒山麓の春の夕べ】にて。遠くからでも目をひく派手な衣装と、笑顔で踊るとび喜代さん

筆者(大ちゃん・以降「D」):今年意外なところでお会いして以来、色々とお世話になっています。あらためてとび喜代さんと盆踊りの出会いについて教えてください。

とび喜代さん(以降「T」):私は北海道の苫前郡初山別村という、今では「しょさんべつ天文台」が有名な北の方にある場所で生まれ育ったんだけれど、子どもの頃はすぐ近所で盆踊りがあって、北海道でよく踊られる《子供盆おどり唄》というのを踊った記録があるわ。「シャンコシャンコ」という歌詞や、意外と手数が多いのが楽しくて、子どもの時間はずっと踊っていたの。屋台の店とかもなかったので、ひたすら踊っているだけ(笑)。有名な《北海盆唄》は大人の時間だけだったので、家に帰られされたから踊った記憶がないのよね。

学生時代には幅跳びやバレーボールなどスポーツ好きで、しばらく盆踊りとは無縁だったんだけれど、22歳の時に結婚し、大阪へ来るようになったのね。

 

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