旅行

「今宵も盆悩まみれ」 vol.39

盆踊りの聖地・郡上八幡の冬。この時期旅する5つの理由:盆踊りキュレーター 佐藤智彦

2016.12.23

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縁起のよい南天まつりとともに、郡上八幡の冬がはじまる!

ボクの人生を変えてしまったといっても過言ではない、岐阜・郡上八幡。郡上おどりの郷として、夏の間は32夜にわたって毎晩のように踊りが続き、ボクのような「他所の衆」を魅了して止まない。夏の印象があまりにも強い土地ではあるが、実は四季折々自然の恵みに溢れており、どの季節でも旅人をあたたかく迎え、心を癒してくれる場所でもある。

特に冬場は雪が降り、寒さも身に堪えるのだが、この時期だからこそ訪れるべき場所でもある。先日ボクはおよそ3ヶ月ぶりに彼の地を旅し、あらためてその想いを強くした。果たしてその理由とは?

今回は独断で選んだ「この時期旅する5つの理由」とともに、盆踊りの聖地・郡上八幡の冬ならではの魅力を紹介したいと思う。

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「難を転ずる」語呂から縁起のよい正月飾りとして重宝される南天の鉢が、所狭しと並ぶ【郡上八幡南天まつり】

*其の壱/実は生産量日本一の「南天」。験担ぎにあやかりたい!

「難を転じる」という語呂もあって縁起のよいものとされ、重宝される南天。ところがボクにはあまりよい印象がなかった。というのも我が家の庭では南天が増え放題、加えて意外と成長が早いこともあって雑草扱いしているほどだ。

ところが昨年はじめて【郡上八幡南天まつり】に足を運んだ際、今までの先入観があっという間に覆された。なんということでしょうか…なんという実つきのよさ、なんという粒の大きさ、そしてなんという色の鮮やかさ!艶やかなその実を見ているだけで縁起のよさを感じるほどだ。

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杉玉を模した「南天玉」はクリスマスムードもあり、人気のためあっという間に完売となる

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「南天玉」は球状のワイヤーやオアシスに南天の実を手作業であしらって作られる

さらに特筆すべきは、他の地ではほとんど見かけることのない「南天玉」という特産品だ。大小いくつかのサイズがあるものの、概ねバスケットボール大の球形ワイヤーフレームやオアシスに南天の実をあしらった正月飾りで、造り酒屋の軒先に下げられる杉玉をイメージして作られるようになったのだとか。この時期、郡上八幡町内ではよく店先に飾られている様子を見かけることができる。

飾っているうちにだんだんと赤い南天が黒ずんでくることから、「赤字が黒字に転ずる」という験担ぎもあって、商売をしている方に特に人気らしいのだが、手作業のため限定数しか販売されず、実は昨年ボクは入手できなかったため、今年こそは、とリベンジ!朝早くから並んで整理券とともに無事入手することができたのだった。

20161222_5【郡上八幡南天まつり】はクリスマスリースや正月飾りを買い求める客で賑わう

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木の枝に紅白の梅を模した餅を飾りつけた、地元で定番の正月飾り「餅花」

郡上市ではもともとも自生していた南天が各地から買いつけされるほど評判だったようで、昭和58年(1983年)に郡上八幡南天組合を設立。現在は市を代表する産業の一つとして、日本一の生産量を誇るそうだ。色鮮やさと実つきのよさ、さらには実が落ちにくいことも郡上南天の特徴らしい。

【郡上八幡南天まつり】では南天玉のほか、紅白南天の鉢植えや切り枝の販売、惣菜や菓子の出店もあるイベントで、リースをはじめとしたクリスマス向けの商品もある。南天がことのほかクリスマス風情あることもボクにとって新たな発見だった。

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「南天玉」を飾った店の軒先。時間の経過とともに黒づくことから「赤字が黒字に転ずる」として店や商売人にも人気だ

残念ながら今年の南天まつりは終了してしまったが、この時期町のいたるところで南天の姿を目にすることができる。ぜひ雪の白さと南天の赤、そのコントラストを楽しんではいかがだろうか。

 

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