「今宵も盆悩まみれ」 vol.40

郡上おどりを熱く語る夕べ。今宵は踊り仲間と忘年会!:盆踊りキュレーター 佐藤智彦

2016.12.30

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郡上おどりに魅せられ、今度は踊りで地域へ恩返し

先日今年最後の郡上八幡を訪れたのは、冬の郡上八幡を堪能するのはもちろん、踊り仲間たちとの忘年会がてら、郡上おどりについて色々と語り合いたいという目的を果たすためでもあった。

この「座談会兼忘年会」に賛同してくれたのは、郡上八幡を代表する酒屋である上田酒店の大将・松浦裕之さんと女将の芳美さん、そして「郡上おどりの女王」の異名を持つ踊り名人・いっちゃんこと市川広美さんと、同じく踊り名人である、あつちゃんこと國枝あつさん。

この時期だからこそのんびりと酒を交えつつ、夏を想い出しながらしみじみ語り合い…と思いきや、いきなり話はヒートアップ!しかもみな何時間話しても話し足りないほど!なんだ、みんなこういう時間を持ちたいと思っていたのか、と妙に納得しつつ、その場で語り合った中で、熱くも印象的な各々の想いとは?

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この夜集まった熱いメンバーたち!左から、いっちゃん、筆者、あつちゃん、女将、大将

筆者:ボクがはじめて郡上八幡へ踊りに来たのは徹夜おどりの時で、まだろくに踊れないし、正直一晩中踊れるか不安だったんです。そんな時踊りの輪の中でパッと目を惹かれた人がいて、その美しい所作と涼しげな笑顔で踊る姿に「この人みたいに踊れるようになりたい!」と思ったんですよ。

実はそれがいっちゃん!以降時々目が合うたびに会釈し、少しずつその踊りを「盗む」ようになった、という訳。あー、カミングアウトした(笑)。

ところでいっちゃんが郡上おどりをはじめたきっかけを教えてください。

いっちゃん:私は学生時代に民族舞踊(フォークダンス)サークルに所属していて、海外の踊りに熱中していたの。日本の踊りも習ったんだけれど、当時は全く興味なし(笑)。

卒業後しばらくブランクがあって、社会人のフォークダンスサークルや学生OB例会に復帰した時、サークルのリーダーご夫妻が、白鳥おどりの超常連さんで、「地元の踊りも踊れないといけないよ」と、白鳥おどりに連れて行ってくれたの。

その活気やテンポの速さ、踊りの種類の多さ、若い人達の多さ、笑顔…。すっかりハマって白鳥おどりに通い出し、翌年郡上おどりにも参加してみたらダンスサークルの大先輩がいて踊りを教えてくれて、それ以降通うようになったのよ。

20161230_3この夏思い出の一枚。いっちゃんと筆者を含む、踊り仲間たちとの徹夜おどり明け

筆者:いっちゃんが郡上おどりで魅力的だと思う点はどんなところですか?

いっちゃん:もともと伝統的な、土が香るような踊りが好きだったので、まずは純粋に踊れること、誰でも、どんな格好でも、どんな時間帯でも、自由に参加できるところに魅力を感じたわ。

曲数が多くバラエティーに富んでいるので飽きないこと、開催日数が多く踊り場も変わること、行事がいろいろとあって、もちろん徹夜で踊れること。400年という歴史を感じながら、故人を想いながら、今を踊ることができること。
生のお囃子で踊れる醍醐味や掛け合いが楽しいこと、健康や美容にもいいだろうし、日本の民族衣装である浴衣を着て踊れること…本当に挙げるとキリがないわね(笑)。

筆者:いっちゃんは岐阜市内で働いていながら、32夜も続く郡上おどりにほぼ毎晩参加してますよね?車で片道1時間くらいかかるのに大変でしょ?

いっちゃん:仕事を終えて浴衣に着替え、郡上という場所へ移動し、下駄を履いて大汗をかきながら踊りに集中すると、日常とは違った自分になれる気がするの。

自分に自信が持てたり、ストレスも解消できたりするのよ!日常生活の活力にもなっているのね。多くの踊り助平さんたちと出会え、親交を深めながら世界も広がるし。何より郡上八幡や白鳥の町や景色、雰囲気、人が好きだから、ついつい通ってしまうのよ。

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この忘年会兼座談会の翌朝。【郡上八幡南天まつり】で南天玉の整理券を入手するいっちゃんと筆者

筆者:いっちゃんらしい気がする。でも焦ってスピード出し過ぎないように気をつけてね(笑)。
ところで今後の目標や抱負を教えてください。

いっちゃん:踊りに通い始めた頃は、踊りを覚えて技術を磨くことに必死で、しかもその頃は色々と悩みごとのあった時期だったので、現実逃避しか目的がなく、あえて人間関係を避けて暗い顔で踊っていたの。

でも3年ほど経って、踊り助平さんたちみんなの笑顔や踊り場のパワーに助けられて、なんとか試練を乗り越えることができて、「踊りで恩返しをしたい」と思うようになって、人間関係を大切にするようになったの。

暗い顔で踊る人を笑顔にしたい、たまたま向かい合わせで踊る人にも微笑みかけたい、踊れない人の手本となって楽しんでもらいたい、っていう感じで。小さなことだけど、これからも常にそう想いながら踊っていきたいわね。

それとご縁があっていろいろな場所で郡上おどりや白鳥おどりのイベントに参加したり、踊りをレクチャーしたりする機会があるのだけれど、これからも郡上おどりや白鳥おどりを広めていくことに少しでも貢献できたら、と思っているのよ。

郡上市のふるさと納税もしているから、大ちゃん(筆者)もぜひやるべきよ(笑)。

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