西表島、圧倒的な大自然、亜熱帯のジャングルと出会う島

2017.05.06

みなさんは、西表島を旅したことはありますか?

西表島といえば、天然記念物のイリオモテヤマネコがあまりにも有名で、数多ある日本の離島の中でも子どもから大人までその名前を知らない人はいないのではないでしょうか? とは言うものの、実際西表島がどんな島なのか?ということについては、あまりみなさん詳しくない様子です。

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西表島は、北緯24°、東経123°に位置する八重山諸島にある島で、150余ある沖縄の島々の中では沖縄本島に次ぎ2番目に大きな島です。面積は約284㎢で90%以上を亜熱帯のジャングルが占め、島全体が国立公園に指定される大自然の宝庫のような島。

ちなみに、沖縄本島と西表島の距離は約400kmで、これは東京—大阪間とほぼ同じ距離。台湾までは190km弱なので、沖縄本島よりよっぽど台湾のほうが近いことがわかります。そんな地理的要因から、西表島を含む八重山の島々は琉球王朝時代も琉球文化の影響をさほど受けず、言葉も風習も沖縄本土とは異なる独自の文化を育んでいるのが特徴です。

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まわりをぐるりと海に囲まれ、ジャングルの山々が連なるこの島では、いまだに人間の手が入らない手付かずの大自然が島のほとんどを覆います。有名なイリオモテヤマネコのほか、セマルハコガメ、キシノウエトカゲ、カンムリワシ、リュウキュウハンバトなど数多くの希少動物が生息するサンクチュアリでもあり、その独特の生態系からこの島を“東洋のガラパゴス”の名で呼ぶ人も少なくありません。

そのダイナミック過ぎる大自然に“ヤポネシア”と呼ぶ人も。とにかく、見るもの触るものすべてが本土の感覚では通用しません。サイズはもちろん、スケールも美しさも大きく規格外となるのが西表島なのです。

マングローブの川をカヤックで散策し、ジャングルの森を歩く

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西表島がどんな島なのかを知りたいなら、まず手始めにマングローブの川をカヤックで行くジャングルトレッキングがおすすめです。島唯一の道路である東西を結ぶ県道215号を走っていると、しばしば両岸にわんさかとマングローブが生い茂る川の風景に出会います。

我が国ではマングローブは沖縄と鹿児島に分布しますが、日本産マングローブ植物7種がすべて分布するのはここ西表島だけ。近年、空前の登山ブームで、西表や沖縄の島々でも山の自然を楽しむアクティビティが大人気となっていますが、そのダイナミックさでは西表島の右にでる場所はありません。

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ひたすら雄大にゆっくりと流れる亜熱帯の川をカヤックで行くのはなんとも爽快な気分です。潮の満ち引きで姿を変えるマングローブ林や様々な南国の植物を眺めながら、ときに鳥たちの鳴き声に耳を澄ませ、ときに川面を飛び跳ねる魚たちを見やり、正面の山肌に勢いよく飛沫をあげる滝を見つけ、深緑色におおわれたジャングルの奥へ奥へと進んで行くのはちょっとした冒険気分。

山の中に一歩足を踏み入れれば、サキシマスオウノキやヒカゲヘゴなどいかにも熱帯の植物が大きく葉をひろげ、その隙間を埋め尽くすよう蔓科の植物が縦横無尽にからみつきます。本土の山や森とはまったく異なる形相に、自分がジャングルの地にいることを痛感するはず。緑に覆い尽くされた森に優しく色を添えるのは、イジュやコンロンカなどの四季の花々。運がよければ可愛らしいトカゲやセマルハコガメなどの生き物たちにも挨拶ができるし、毎年4月から9月くらいの時期は、「キュロロロー」と鳴くアカショウビンの声がよく響き渡ります。

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サキシマスオウノキ

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マイナスイオンたっぷり! 海と山を自在に楽しむ

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海岸近くまで山がせり出し、段差が激しいこの島には滝や沢が点在し、マイナスイオンにあふれるのも魅力です。トレッキングではたいてい滝や滝壺にも立ち寄りますが、滝上から一望する景色の素晴らしさはもちろんのこと、夏なら滝壺に飛び込んで涼むのが最高に気持ちいいのです。

山奥から湧き出た清流にぷかぷかと浮かび全身をリラックスするひとときは、大自然に癒されるヒーリングタイム。沢から沢へとホッピングしながら、ときに土の上を歩き、ときに川を泳ぎ目的地を目指す水陸両方のトレッキングもワイルドな楽しみにあふれます。本土では体験できない西表島ならではの山遊びは、子どもはもちろん大人にとっても魅力にあふれます。

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(C)西表島カヌーツアー風車

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ちなみに、ダイナミックでアドベンチャー気分いっぱいのトッレキングやカヤックは、子どもや初級者でも楽しめるライトなコースから、遊び気分では参加できない本格的なコースまで自由自在に組めるのが西表島の特徴。好みやスタイルに合わせて楽しむことができるので、何度訪れても飽きることがありません。

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島なのに、ジャングルや山の話にばかりなってしまいましたが、もちろん海の素晴らしさは言うまでもありません。透明度抜群の海では様々な種類のサンゴと群れをなして泳ぐカラフルな熱帯魚たちに出会います。ときおり悠々と海の中を自由に泳ぐウミガメたちが現れては消えていく世界を眺めていると、自分もこのまま竜宮城にたどり着くのではないか?という錯覚に陥るかもしれません。

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(C)西表島モンスーン

ダイバーでなくともシュノーケリングでじゅうぶんに海中散策を楽しむことができるので、まずは海の中の世界を覗いてみてください。小さな子どもやどうしても泳ぎに自信がないという人はグラスボートで! 海で泳いだら、そのまま河口からボートに乗り、シャワーがわりに沢の清流を浴びるなんてことができるのも西表島ならでは! 

そして、初めての人ならぜひ足を伸ばして欲しいのが由布島です。水牛車に乗り海を渡って行く周囲2km足らずの小さな島で、現在は全体が亜熱帯植物園になっています。ジャングルや海といった大自然に対して、こちらは人間がいるフォトジェニックな風景。どこかノスタルジックで、八重山の原風景と呼べるような美しい光景と出会います。三線をならし島人が唄う島唄を聴きながら、のんびり水牛車に揺られ島から島へと渡る時間もまた、ここでしか体験できない島時間のひとつ。

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広大な面積を有しながらそのほとんどが人が入り込むことのできないジャングルの島は、知れば知るほど奥深く、ダイナミックなパワーとエネルギーにみちあふれます。刻々と姿を変える自然は美しくもあり、厳しくもあり、ときに容赦なく猛威を振るったりもしますが、この島の大自然に魅せられた人が呼ばれるように棲み着く気持ちもわからないではありません。

西表島にはほかにもイリオモテヤマネコの話や、炭鉱時代の話(西表島に炭鉱があったことをご存知でしょうか?)、仙人のように自給自足で暮らした伝説のターザンと呼ばれたおじいの話など、ユニークなトピックが満載なのでそれはまた別の機会にお話ししますね。

数ある八重山の島々の中で西表島にピンときた人は、この夏こそひたすら五感を解放する旅に出かけてみませんか?

 

取材・文・写真/小林 繭