旅行

新潟県大沢山温泉 里山十帖:「プレミアム温泉」vol.12 石井宏子

2015.11.27

空の上から森を見渡す絶景温泉

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「いつまでもこの温泉に浸っていたい」そう思わせる温泉があります。ロケーション、湯の感触、温度、デザインなど理由は様々ですが、特に里山十帖の場合は、この場所。とにかく気持ちがいい景色、朝も昼も夜もずっと眺めていたい、そんな気分になります。この風景を温泉に入って眺めたいと考えた宿の新しいオーナーは、大胆にも湯屋ごと大移動という手法でリニューアルし、この絶景温泉が誕生しました。まさにBirdseye、鳥になったように空の上から森を見渡す場所で、ぽつんと湯の中に身を置くという独特の浮遊感はここでしか味わえません。入った瞬間からとろりと肌にまとわりつく温泉は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。pH8.4弱アルカリ性。体の深いところまで、じんわりと温もりが届くぽかぽか温泉で湯上がりの肌はすべすべしっとり。

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日本古民家建築のダイナミックな構造美

釘を使わずに太い梁を組み込んでいく「小屋組」の構造美を目の前で楽しめるパブリックラウンジは母屋のロビーの上。当時の大工さんたちの息遣いまで聞こえてくるような日本の職人技をアンティークデザイナーズチェアに腰かけて眺める極上空間です。古民家の“寒い・暗い”の印象を払拭する現代建築の知恵。天井まで全てに断熱処理を施し、熱の流れを調整できるファン、空気孔などを配置、床下へ温かい空気が入り込む計算しつくされた手法により、冬暖かく、夏涼しい、居心地のいい日本伝統の空間に生まれ変わらせたのです。

宿泊棟のインテリアは天然木と漆喰壁が中心。すっきりとした空間に置かれたデザイナーズチェア。巻機山の景色が美しい202号室はアートディレクター川上シュン氏の作品とミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェア、無垢材のメイプルのフローリング。上階は畳にシーリー製ベッド、北欧産ホワイトダックの羽毛布団でぐっすり眠れる幸せが待っています。

大浴場は男女入れ替え制で、異なる雰囲気の露天風呂が楽しめます。森に突き出たような岩風呂は真ん中に大きな石のベンチ、夜は天の川を眺める特等席になります。

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日本の里山の実力をとことん愉しむ晩餐

里山十帖の料理のコンセプトは「オーガニック&デトックス」。新潟各地の伝統野菜や有機栽培農家などから仕入れた野菜をふんだんにつかっています。春には宿の周りの里山がキッチンフィールド、生命力あふれる山菜やスタッフが育てた畑のハーブなども摘んできます。料理は「ミシュランガイド関西」で三ッ星を獲得した京都「吉泉」で修業したフードディレクターと、スリランカでアーユルヴェーダを学んだヴィーガン料理にも詳しいシェフ。その季節の体を考えたスパイスを隠し味に、日本伝統の手法で作られた天然醸造・木桶醸造の越後味噌、麹、酒粕など新潟の保存・発酵食文化も取り入れています。味や素材の組み合わせのセンスが抜群。口へ広がる味わいの変化に驚かされる楽しい料理もあります。極上の野菜料理の間に、佐渡ののどぐろなど魚や肉もアクセントで登場します。圧巻は薫り豊かな杉でスモークした“越後もち豚”、杉の新芽をピクルスにして薬味のようにいただきます。

ぜひ、この宿の晩餐でおすすめしたいのは、自然派新潟ワイン&限定酒のマリアージュ。楽しい理由はワイン、日本酒と交互に出てくるバイザグラス方式。しかもそれが違和感なくお料理にすっと寄り添うのです。本数限定など手に入らない稀少なお酒のオンパレードのため、その時によって変わりますが、たとえば、南魚沼の酒蔵・青木酒造の鶴齢からは地元でも入手困難な限定醸造酒「無濾過生原酒 山田錦」が登場。佐渡ののどぐろのコクに負けないふくよかな味わいです。この日の最後を飾った赤ワインは、新潟・角田浜のワイナリー「フェルミエ」のラフレアブル・ポワゾン2012。自社畑のカベルネ・フランを培養酵母を使わず野生酵母で全房発酵し、無清澄・無濾過、酸化防止剤無添加で18か月樽熟成。なんと1樽しか醸造しないという超スペシャル・キュベ。このように、たまたまその日に出会えたら幸せ!という超稀少限定酒が出てくることもあるのが、この宿だからこそのお楽しみ。一期一会の感動のマリアージュです。

そして本当の主役は「ごはん」。コシヒカリ米の中でも特別に美味しい極上のお米は南魚沼、しかも三沢といわれています。三沢のうちのひとつ「大沢」地区にある温泉宿「里山十帖」では、この極上こしひかり米がいわばメインディッシュ。目の前で土鍋で炊いて、まずは「にえばな」のアルデンテと香りを楽しみ、少し蒸して時間をおいてから「甘味ともちもちさ」を楽しみます。

 

里山十帖
http://www.satoyama-jujo.com/

 

取材・文 石井宏子

映像・大峰耕太

写真・鈴木さや香

Music by TOMOHIDE HARADA

 

【石井宏子の〈プレミアム温泉〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/hiroko-ishii/

【石井宏子の〈ここにしかない日本〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/hiroko-ishii_reports/

 

石井PP3《プロフィール》

石井宏子 

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト

温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。生涯旅人の人生をスタートして年200日ほど日本・世界を旅する。雑誌やサイトなど多数の 連載コラムを執筆、テレビ・ラジオにも出演。温泉地の自然環境にも着目し、ドイツにて「気候療法士」資格を取得。温泉、水、自然環境、食事など旅を通じて、心も体もきれいになる新しい旅“ビューティツーリズム”を提唱。外資系化粧品会社、海外ブランドのマーケティング・広報の経験を生かし、温泉地のブランディングや企画もサポート。プレミアムジャパン“PREMIUM JAPAN”のトラベル・キュレーターに着任。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会 員、日本旅のペンクラブ会員、公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

 

 

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