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酒器の世界と酒をめぐる美術展「酒器の美に酔う」が開催中

2018.05.02
shukinobiniyou

山水菊蒔絵提重 江戸時代(18~19世紀)※前期展示品/ 提重は「提げ重箱」の略称で、「行厨」ともいい、重箱や取り皿、酒器などを加えて一箱に収め、提げ手をつけたもの。いわばハレの宴用の弁当セットであり、花見や紅葉狩り、祭りや芝居見物といった遊山行楽など、用途に応じて目的に相応しい意匠の器が作られた。本作は菊の咲き誇る山水を色調の異なる数種の金蒔絵であらわした提重で、菊花を打ち出した銀製の徳利には一部鍍金が施され、まばゆいばかりの豪華な意匠である。

 

三菱創業者として知られる岩崎彌太郎氏の弟の彌之助氏と、その息子の小彌太氏の父子二代にわたる蒐集品を収蔵・展示する静嘉堂文庫美術館。所蔵品は国宝7件・重要文化財84件を含む和漢の古典籍およそ20万冊と東洋古美術品約6,500件、そして世界に3点のみ現存する国宝「曜変天目」(中国・南宋時代)を有しています。
4月24日(火)から6月17日(日)の期間、酒を盛る・注ぐ・酌み交わすうつわ、そして酒を呑む人びとをテーマにした「酒器の美に酔う」展が開催です。

酒は「天の美禄」「百薬の長」と称えられ、婚礼や宴といった祝いや別れの席、日々の暮らしといった、人生のさまざまな場面で酌まれ、盃が交わされます。古くから東洋では、酒は神に捧げ、神と人とをつなぐための神聖なものとされ、それを盛る荘重な酒器もまた祭や式の中で重要な役割を果たしてきたといいます。やがて飲酒の普及にともない、四季折々の風情やもてなしの趣向にあわせた多彩な酒器が生み出されました。
本展では、およそ3000年前の中国古代から幕末・明治時代まで、東洋の豊かな酒器の世界と酒をめぐる美術が紹介されます。8代将軍徳川吉宗による特注品と考えられる、現存唯一の盛期鍋島焼の酒器、工芸の粋と遊び心がうかがえる器や重要文化財などが並びます。

1「色絵牡丹文水注」 鍋島藩窯 江戸時代(17~18世紀)

色絵牡丹文水注 鍋島藩窯  江戸時代(17~18世紀)/ 鍋島焼は、徳川将軍家への献上品や諸大名への贈答品として、佐賀藩鍋島家が最高の技術と材料を集めて作らせた特製の磁器。気品溢れる本作は、盛期の鍋島藩窯の水注として唯一伝わるもの。色絵の牡丹のしべや唐草の縁どりといった細部に、鍋島焼では稀な金彩が施され、また注口や把手には金蒔絵で主文様と同じ牡丹唐草があしらわれている。八代将軍・徳川吉宗(1684~1751)による私的な注文に「仙盞瓶(センサンビン)」として記録される品であった可能性も指摘される。

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色絵松竹牡丹文壺形段重 京焼 江戸時代(18~19世紀)/ 茶壺を模した段重で、三段に分かれ、下段・中段は酒肴を入れ、上段は酒を入れて徳利のように使ったものと考えられる。牡丹と丸文をあしらった方形の裂「口覆」と紅色の組紐をあらわすことから、茶の湯の世界で茶人の正月ともいわれる「口切の茶事」の際に茶壺に施す華やかな壺荘をイメージした意匠と考えられる。胴部には歳寒三友のうちの松竹が描かれている。

 

酒及び酒器が太古よりどのように嗜まれ、人々に親しまれてきたか、その歴史が垣間見れる本展示会。酒好きでなくても、美術品として美しい酒器を楽しむこともできます。期間中に講演会や学芸員による列品解説もあるので、この機会に足を運んでみては。

 

「酒器の美に酔う」展

美術館外観(WEB用)
会期:2018年4月24日(火)~6月17日(日)
会場:静嘉堂文庫美術館
  〒157-0076 東京都世田谷区岡本2-23-1
  ※毎週月曜日(ただし、4月30日は開館)、5月1日(火)は休館日
開館時間:午前10時~ 午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円(20名以上団体割引)、中学生以下無料
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)/英語版ハローダイヤル案内 03-5777-8686
※会期中、一部作品の展示替えあり。講演会や列品解説の日程は美術館HPよりご確認ください。
http://www.seikado.or.jp
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