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プレミアムジャパン・アートプロジェクト<建築家シリーズ> vol.6

新しいものと古いもののあいだに創造的な関係を作り出す建築家、能作淳平

2016.12.20

ローカルな技術や素材を大切にしつつ、いかに質を高められるか

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写真(上)/ 神泉のリノベーション renovation in shinsen 2011 Photos by JUNPEI NOUSAKU ARCHITECTS

その場所にある材料を徹底的に活用するという発想は、都市の空間にも応用可能だ。
「2011年の『神泉のリノベーション』では、東日本大震災の直後に工事を進めたので、一時的に必要な資材が手に入らなくなってしまったのです。そこで部屋に残っている廃材を使ってリノベーションしました」
彼自身の事務所も、アートプロジェクトのために改修した古いスーパーマーケット、富士見台ストアーの一角をリノベーションしたスペースだ。道向いにある富士見台団地から出た廃材が事務所内でも活用されている。
また事務所に隣接した住居は、築50年の団地の一室を改装したものだ。そこでは既存の畳をベンチにしたり、押入れをデスクにしたりといった「転用」が試みられている。

rd1700_MG_4931rd1700_MG_5009写真(上)/富士見台ストアーのリノベーション renovation in fujimidai store 2015 彼自身が現在、事務所として使用している

建築における伝統的な素材や技術の見直しは世界的な傾向でもある。例えばムンバイにある設計事務所スタジオ・ムンバイは地元の伝統的な技術を重視する手法で知られる。彼らは土地の造成から設計、施工までを建築家のビジョイ・ジェインと熟練の職人たちの手仕事で行う。そして建築を作るプロセスを上下関係に基づく分業ではなく、階層を横断するような共同作業として捉えている。その発想は能作淳平のプロジェクトにも通じるものがある。
「日本ではリノベーションでも新築でも、ローカルなものを使うことが建築的な質の高さとは必ずしも結びついていない。これからは既存のものや地域の特性を活かしつつ、建築としての質の高さをどれだけ高められるかがテーマだと思います」
ローカリティや素材のリユースは従来の「建築」ではあまり重視されなかった領域だ。「新しいもの」と「古いもの」のあいだに創造的な関係を作り出そうとする彼の試みは、これからの社会が建築に求める方向のひとつを示している。 

【プロフィール】
能作淳平 Jumpei Nosaku
1983年富山県生まれ。 2006年武蔵工業大学(現・東京都市大学)建築学科卒業。 2006-2010年長谷川豪建築設計事務所勤務。2010年ノウサクジュンペイアーキテクツ設立。2016年東京大学非常勤講師、日本工業大学非常勤講師
http://junpeinousaku.com

取材・文/鈴木布美子、撮影/岸本咲子、コーディネート/柴田直美

■建築家にアンケート 能作淳平
Q1. 好きな住宅建築は?
A 「私の家」清家清、「自邸(最小限住宅)」増沢洵、「SH1」広瀬鎌二
Q2. 影響を受けた建築家は?
A 大学時代の先生の手塚貴晴先生。事務所勤務時代の師匠の長谷川豪さん。
Q3. 好きな音楽は?
A 90年代のロックを聴くことが多いと思います。
Q4. 好きな文学作品は?
A 村上春樹の作品全般。学生時代によく読んでました。
Q5. 好きなファッションは?
A 短パン。わりと寒い時期まで履いてます。
Q6. 自邸を設計したいですか?
A 設計したいです。子供のころの将来の夢が「建築家になって自分の家を自分で建てる」でした。
Q7. 田舎と都会のどちらが好きですか?
A 郊外あたりのエリアが好きです。
Q8. 最近撮影した写真は?
A 息子の写真

 

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