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銀座の秋の風物詩「銀茶会」

2018.11.13

毎年秋に開催される「銀茶会」は、銀座・中央通りの歩行者天国を野点会場に見立てたスペシャルイベント。ふだんは席を同じくすることがない「表千家」、「裏千家」、「武者小路千家」、「江戸千家」、「遠州流茶道」の茶道五流派と「煎茶道」が一堂に会する、稀有にして大規模な茶会です。通算17回目となった今年は10月28日(日)の午後に開催され、銀座の街が素敵な着物姿の人々で賑わいました。

“銀座のため、茶道文化のため”に行われる「銀茶会」は、例年3000人が訪れるほどの人気ぶり。人気の理由は、お茶の世界にあまり馴染みのない人も気軽に楽しめる工夫がされていることでしょう。中央通りの各所に設けられた14カ所の茶席はすべて椅子席で、参加費は無料。そのうち2カ所は、表千家と裏千家による「茶道はじめて体験」席となっています。この体験席は、参加者が先生に教わりながらお茶を点て、自分で点てたお茶とお菓子を楽しめる趣向。そのほかの12カ所の茶席は、各席の前のブースで当日配布される無料茶席券を入手し、入口で券を渡して席に入るシステムです。各席では1回20分のお点前が1時間に3回(合計9回)披露され、毎回大盛況を博しました。

 
GINZA SIXと交詢社通りの角に設けられた表千家(東京支部)の立礼席。無料茶席券は茶席の近くのブースで12時10分から1時間おきに配布され、その都度行列ができた。

「銀茶会」は経験や流派を問わずに参加できる茶会ですが、誰もが楽しめる茶会の魅力といえば風情あふれる和菓子です。「銀茶会」の各茶席で出されるお菓子は、銀座の名店が毎年この日のために作っているもの。たとえば今年の表千家の薄茶席のお菓子は「とらや」の薯蕷饅頭「山紅葉」、煎茶道の立礼席のお菓子は「銀座 菊廼舎」の練り切り「秋菊」でした。裏千家による6カ所の茶席で供されたのは、「HIGASHIYA GINZA」の栗菓子「栗よせ」や「銀座凮月堂」の紫芋餡を包んだきんとんなど、6カ所ごとに異なる和菓子。表千家と裏千家の茶席では、さらに宮城県、福島県、熊本県の名店の和菓子も提供され、東日本大震災と熊本地震の復興支援の願いが込められました。


裏千家(東京第五東支部学校茶道)の立礼席で提供された「銀座 あけぼの」の「時つ風」。たゆたう時の中で新しい風とともに歩む銀座を、風に揺れる秋桜で表現した生菓子。「銀茶会」の茶席で提供されたお菓子は、10月27日(土)と28日(日)の2日間、松屋銀座B1フロアで販売された。

会の見どころといえば各席のしつらえや道具組みですが、14カ所で釜が掛けられる「銀茶会」は、それだけ見どころも豊富です。14カ所の中にはオーソドックスな席もあれば現代的な席もありますが、今回特に目を引かれたのは、掛軸の代わりに大きな抽象画を用いた裏千家(東京第五東支部青年部)の薄茶席と、自然の木を中柱に用いた遠州流茶道の薄茶席でした。


裏千家(東京第五東支部青年部)の薄茶席。(写真左)茶碗は、東京藝術大学工学科の教員や大学院生の作品が用いられた。(写真右)

「自然庵」と名付けられた遠州流茶道のオリジナル茶席で行われたのは、風炉の茶盆点。遠州流茶道は五流派の中で唯一の武家茶道であり、千家流とは袱紗の扱い方や茶巾のさばき方など、細かいところに違いが見られます。茶道をたしなむ人にとっては、そんな流派ごとの違いに触れられるのも「銀茶会」の魅力。遠州流の席は珍しさからも人気を集めましたが、13時40分の回ではミス・インターナショナル日本代表の杉本雛乃さんが風炉の茶盆点を披露し、さらに話題をさらいました。

 
遠州流茶道の茶盆点。(写真左)13時40分の回の席は杉本さんのミス・インターナショナル仲間である世界各国の美女42名に埋め尽くされ、あでやかな華が添えられた。(写真右)

ごとにさまざまな趣向が凝らされた「銀茶会」。なるべく多くの席を見て回りたいものですが、13時から16時までの開催時間中に回れる席の数には、限りがあります。そんな「銀茶会」を最大限に楽しむコツは、入りたい席の優先順位を決め、早めに茶席券を入手することでしょう。惜しくも入りそびれてしまった茶席があれば、次年度の「銀茶会」のお楽しみとしてみてはいかがでしょうか。

 

◆銀茶会
会期:2018年10月28日(日)
会場:銀座・中央通り1~8丁目歩行者天国周辺
時間:13:00~16:00
公式サイト:http://ginchakai.ginza.jp/

 

取材、文/小松めぐみ、写真/山村隆彦