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第18回:ディープ・ジャパン・トリップ「ものづくりの街“高岡”にて、クラフトのお祭りをのんびりぶらり」

2018.09.28
Takaoka1

 

山県の高岡といえば、ものづくりの街として有名ですが、その高岡にて、毎年秋開催されるクラフト秋祭りの会期中に、日本遺産サミットが開催され、そのサミットに参加するため、高岡に出かけました。朝のうっとおしい雨模様の天気からガラリと変わって、日中には、美しい秋晴れの青空が天空を覆い、高岡の伝統的な街並みを神々しく彩っています。

秋祭りは、街全体を使って、ものづくり、クラフトを体験できる催しが繰り広げられます。伝統的建築が並ぶ御旅屋通りでは全国から集められたクラフトが展示され、銅器団地ではオープンファクトリーが開催され、工房が見学できるツアーを開催。駅近くのウィング・ウィンク高岡では日本遺産サミットが開催され、全国67箇所の日本遺産認定地から食、クラフトなどが集合しました。限られた時間の中、日本遺産サミットのシンポジウムに参加した後、食・クラフトの町歩きを楽しめるという、もう一つの伝統の街、山町筋を訪ねてみました。

いつもは車が往来する通りが歩行者天国となっており、ぶらぶら、古びた風情あふれる伝統的な街並みが楽しめる通りを歩いていくと、いきなり、通りの中央で、黄金のライオンに遭遇! 鋳物の街、高岡ならではの、数ある鋳物製作会社が作った動物たちの像が、行進するかのように一列に並んでいるのです! う〜ん、流石の、高岡ものづくりクリエイション! インパクトと説得力あるパワフルなストリートアートですね!

なんか、気持ちいい〜、と秋風に吹かれながらしばらくのんびり歩いて行くと、ひなびた古民家の風情を生かしたカフェ、そして、人だかりのある活気のある古い建物に行き着きました。

の名も、山町ヴァレー。西洋風の外観が特徴の木造の町家をリノベーションし、2017年には、商業施設に生まれ変わりました。中には、食の店、雑貨屋、ヨガ教室などが入っていて、中庭を挟んで立ち並ぶ5棟の蔵には、ギャラリーやカフェが入っています。中を覗いてみると、歴史を感じさせる蔵の空間がモダンなギャラリーに生まれ変わっていて、展示されたモダンなクラフトアイテムが並ぶ様子は、空間全体で美しくクリエイティブな風景を楽しませてくれます。

 

のづくりに取り組む職人たちが街のあちこちにいることを知らせ、観客の方々に楽しんでいただくために、職人さんと出会うとスタンプしてもらえるスタンプ用のパスポートが売られていました。職人さんを取材してまとめた、アーティストブックも併せて作られ、ギャラリー散策の楽しみとなっています。私も早速買ってみて、スタンプ押していただいて、楽しんでみました。シンプルなシステムながら、スタンプ押されると、けっこうこれが、楽しいもんです! 山町ヴァレーの入り口では、大学生たちが着物を着て、販売に協力していますが、大学の試みとして、秋祭りに参加することで単位が取れるというシステムが組まれ、若者たちの実地体験が大学の「生きた授業」になっているのです。街ぐるみで、高岡のアイデンティティであるものづくりをアピールするイベントに、学生たちがこのような形で積極的に参加することは、地域活性化の未来に向かう人材育成のサポートシステムとしてとても優れた形に思えました。

ものづくりのワークショップもあちこちで開催され、職人に出会える!ーー高岡のクラフト秋祭りでは、単にモノを見て楽しむだけでなく、ものづくりを体験する、職人に出会える、というコトの楽しみもふんだんに用意されていました。職人さんに会ってみて、ものを実際に作ってみると、ものづくりがより身近に感じられて、ワクワクする!日本が世界に誇るべき“ものづくり力“を、私たち日本人は、もっともっと自覚して、体験して、応援すべきではないかと、改めて思った次第です。

後に、山町茶屋にぶらりと立ち寄り、抹茶のかき氷と棒茶をいただいて、ホット一息。伝統と革新、ものづくりの力、職人さんとの出会い、などなど、刺激を五感で受けたクラフト秋祭りの締めくくりは、甘味の優しさで、疲れもほんのり癒されました。

 

<プロフィール>

生駒芳子(いこま よしこ) 

VOGUE、ELLEを経て、マリ・クレール日本版の編集長を務める。2008年に独立し、ファッションからアート、デザイン、伝統工芸、エシカル、クール・ジャパン、社会貢献、女性のエンパワメントまで、幅広く執筆・編集・企画・プロデュースを手がける。2010年より、日本の伝統工芸を世界発進するプロジェクト「工芸ルネッサンスWAO」の総合プロデューサーを務め、パリ、ニューヨーク、東京で、ファッションやデザイン、アートを切り口としたキュレーションで伝統工芸世界を紹介。2017年、伝統工芸をベースに置いたラグジュアリーでクリエイティブなオリジナルブランド「HIRUME」を立ち上げ、2018年より本格発信をスタート。