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第4回の②:「KYOTO SOMÉ & ORI Project」 ~プロジェクトに関わったフランスのプロ達~

2018.05.23
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年2018年3月22日から4月8日まで、私が総合ディレクターを務めるパリ・マレ地区のギャラリー、アトリエ・ブランマントで開催した「Somé & Ori」展。これは、京都府が同地の繊維・染織商材を、欧米のファッション業界へ素材として展開することを目指す「KYOTO SOMÉ & ORI Project」の商談・販売会という位置づけです。前回のコラムでは、「KYOTO SOMÉ & ORI Project」の全体概要をお話ししました。今回は、私と一緒に同プロジェクトを牽引するふたりのフランス人、シャンタル・グラニエさんとマチルド・ロゼアンヌ・ブレジョオンさんの目を通した「Somé & Ori」展をお伝えしましょう。

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左から:アートディレクターのシャンタル・グラニエさん、テキスタイルデザイナーのマチルド・ロゼアンヌ・ブレジョオンさん

 

ートディレクターのシャンタル・グラニエさんは、バカラ、エルメスのアートディレクターを務めた後に独立。現在もエルメス財団に協力をしています。また、マチルド・ロゼアンヌ・ブレジョオンさんはテキスタイルデザイナー。高品質なクラフトマンシップの専門家で、ハイエンドのテキスタイル企業やインテリアデザイン企業、ファッションブランドと協業しています。

「KYOTO SOMÉ & ORI Project」はまず、京都府が公募者から10社を選定。2016年夏に、シャンタルさん、マチルドさんは彼らの工房を訪問しています。「とても素晴らしく、魅了されました。訪日前は、彼らの持つ技術がみな同じではないかと心配していましたが、それは杞憂でした。各メーカーの技術が異なるため、コレクションに幅が出せます。ぜひ、パリのファッション業界に紹介する手伝いをしたいと思いました」と、シャンタルさんは語ります。

最初に彼らは、各社が持つ技術内容を確認。欧州市場に売り込めるものはどれか、またどのようにその技術の価値を紹介するかを検討しました。

まず問題だったのは、彼らが使う色が欧州市場好みではなかったことです。些細なことだと考えるかもしれませんが、これは非常に重要。そのため各社の事情に合わせて、カスタマイズを行いました」(マチルドさん)。素材と技術はそのまま使う、図案は活かし色だけ変える、デザインから起こすなど、対応は各社によってさまざま。京都の図書館で和のデザイン資料を見たことも、デザインのリズムや色を変えるために役立ったといいます。「KYOTO SOMÉ & ORI Project」は今年で2年目。初年度は我々からの要望に対して懐疑的だったメーカーとも、2年目には信頼関係が生まれ、仕事の流れがかなりスムーズになりました。

本の伝統工芸技術が欧州で知られていないのは、「メーカーたちが国内の着物市場にしか目を向けず、海外に出て行く必要がないと考えていたから」だとシャンタルさんは言います。しかし、実は日本の技術はフランスの最高級オートクチュールにも匹敵するレベルであり、紹介の仕方によっては、今後知名度が上がる可能性は高いとふたりは太鼓判を押します。

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また、「KYOTO SOMÉ & ORI Project」にはさらなる強力な助っ人がいます。デュエムは、創立25年目のテキスタイル専門販売エージェント。フランス国内にある中級から高級までのメゾンが主な顧客です。「有名メゾンを顧客に持ち、彼らにいい素材を提案したいという強い気持ちを持つエージェント。ビジネス上の注意点もよく理解している」とシャンタルさんは強い信頼を寄せています。

 

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一方、デュエムのトマ・フェランさんは今プロジェクトへの印象をこう語ります。

「KYOTO SOMÉ & ORI Project参加企業の持つ技術力と製品の質の高さには、とても驚きました。これまでも技術力が高く、美的感覚の優れた日本企業と協業したことはありますが、ここまでの職人芸をプロモートするのは我々としても初めての経験です」。「Somé & Ori」展に足を運んだフランスのバイヤー達の反応は、全体的に非常に良好でした。特に、技術と美的感覚が好評です。しかしもちろん問題点もあります。その点について、フェランさんはこう語ります。

ックは、価格です。フランスの有名メゾンですら『高い』と言います」。価格については、確かに今後の大きな課題です。また、日本市場と欧州市場では、納期日程や製造サイクルがまったく異なりますが、その点は参加メーカーが欧州基準に合わせてくれるので問題はありませんでした。「従来の職人的ビジネスプランから、工業的プランに合わせた対応に変更し、クライアントの要望に素早く対応できる体制を整えてもらいました。ファブリックの世界ではクライアントの動向が素早く、ショーで使いたい素材が決まると、即刻サンプルの納品を求められます。これに応えられなければ、発注は取りやめとなってしまう。そのため、常にストックを保持するようにしています」(フェランさん)。

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Somé & Ori」展には、スキャパレリ、バレンシアガ、ランバンなどのメゾンのバイヤーが来場し、強い興味を持ってくれました。しかしこれはまだ、最初の一歩。欧州市場のニーズを汲み取りながら、文化的背景やものづくりの精神を含めた日本の伝統技術を伝える我々の取り組みは、まだまだ続きます。

 

《京都の伝統技術の素晴らしさを世界にアピールする「Somé & Ori」プロジェクト①はコチラから》

 

【アトリエ・ブランマント情報】

L’Atelier Blancs Manteaux
38 rue des Blancs Manteaux 75004 Paris
Tel.  +(33) 01 43 48 67 83
http://abmparis.jp/

Open: 11:30 – 19:00  (日曜のみ13:00 -)、月曜定休