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第4回の③《前編》:「KYOTO SOMÉ & ORI Project」~「somé & ori」展に参加し、新しい刺激を受けた京都の伝統工芸社たち~

2018.06.27
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都府が同地の繊維・染織商材を欧米のファッション業界へ素材として展開することを目指す「KYOTO SOMÉ & ORI Project」の全体概要と、パリ・マレ地区のギャラリー「アトリエ・ブランマント」で開催した「somé & ori」展について、3回に分けてお伝えしています。

その第3回となる今稿では、今春に実施した第2回「somé & ori」展に参加した京都府のメーカー8社の中から、ベルニサージュ(オープニングイベント)に出席した5社をご紹介しましょう。それぞれがユニークな技術を持ち、京都の伝統産業を支えてきた企業ばかり。各社とも30代、40代の若い世代のメンバーが中心となって、今回のプロジェクトを進めてきました。「somé & ori」への参加で国内では得られない体験をし、多くの刺激を受けたようです。

なお、③話は前編・後編に分けてご紹介します。

 

統技術を進化させ、意匠性の高いテキスタイルを作る
久山染工
http://hisayama.xsrv.jp/

山染工は、手捺染(てなっせん)で生地を製造するメーカー。紗のスクリーンを貼った型の上から染料糊を一色ずつ手で生地に刷り込んでいく手法で、着物地を作ってきました。設立は1989年と、参加事業社の中では若い会社です。京都の染は平面的ですが、同社の製品には表面が盛り上がった三次元的なものもあり、とてもユニーク。オーガンジーの生地の上にプリントの型を使って、和紙を接着したものもあります。

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久山染工・専務取締役の久山健作さん

「『アトリエ・ブランマント』のテキスタイルデザイナー、マチルド・ロゼアンヌ・ブレジョオンさんの斬新な柄に、強い刺激を受けました。日本市場の状況はますます厳しくなる一方。我々の製品価値を保ちながら販路を広げるために、世界に打って出たいと考えています。フランスの一流メゾンに服地として採用されることを狙っています」と、専務取締役の久山健作さんは語ります。

 

仏協業で、壁紙用織物も独自のファッション素材に
小嶋織物
http://www.kojima-orimono.com

然素材の麻や綿、木から生まれたレーヨン糸を使い織物壁紙・ふすま紙を製造する小嶋織物は、インテリア・ファブリックにおける日本最大手企業。創業は1932年です。同社社長・小嶋一さんの娘で4代目の小嶋恵理香さんは「KYOTO SOMÉ & ORI Project」について、「織物壁紙はもちろん継続します。しかし、現況に満足することなく、新しいチャレンジも必要だと考え、今プロジェクトに応募しました」と語ります。「somé & ori」展には、壁紙用の織物をファッション用生地に転用したものを出品しました。

また小嶋織物は和紙の紙糸による生地も製造しており、これもファッション素材として使うことが可能。「アトリエ・ブランマント」アートディレクターのシャンタル・グラニエさんが、特に注目したアイテムです。

「弊社は織物壁紙をカットして柄を出す技術を持っているのですが、これをグラニエさんに話したところ、紋織物の一種であるダマスク柄を提案いただきました。試作してみると、奥行きのあるデザインに。一流アートディレクターの助言は、大きな刺激になりました」と、小嶋さん。壁紙においても、日仏提携の成果があったようです。

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小嶋織物の小嶋恵理香さん

織物壁紙や織物ふすま紙を製造する1932年創業の老舗で、インテリア・ファブリックでは日本の最大手。小嶋一社長の娘で4代目の小嶋恵理香さんは「織物壁紙は続けるが、新しい挑戦もしたいのでSome & Oriに応募した」と言います。織物を織って紙に貼り合わせれば壁紙になるところを織物の段階で止めて、ファッション用のテキスタイルを作りました。和紙の紙糸で生地も製造しており、これもファッション用になります。アートディレクターのシャンタルさんが特に注目した素材です。小嶋さんは「普通の壁紙をカットして柄を出す技術があることをデザイナーに話したら、ダマスク柄を提案されました。試作してみたら奥行きのあるデザインになったのですごいと思いました」と壁紙でも日仏提携の成果があったと話しました。

 

新技術×伝統に、日仏のアイデアをミックス
KALEIDOSCOPIC
http://kaleidoscopic.co.jp/

KALEIDOSCOPIC(カレイドスコピック)は、創業100年を超える糊剤メーカー・大力が2015年に立ち上げた企業。親会社と協業し、糊を応用したインクジェット捺染やデザイン開発を行っています。アートディレクターのシャンタルさんは、KALEIDOSCOPICが作るテキスタイルデザインを「極めて日本的だ」と評します。

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KALEIDOSCOPIC・ディレクターの中村裕一さん

最先端技術で高付加価値市場に切り込みたいと考えるKALEIDOSCOPIC。ディレクションを担当する中村裕一さんは、このプロジェクトにおいてもとても意欲的です。

「テキスタイルデザイナーのマチルドさんが提案して下さった柄は、我々の感覚や発想とはまったく違いました。今回の『somé & ori』展に向け、マチルドさんのデザインや、彼女の指定による弊社デザインの新規カラーバリエーションなどを制作。双方が持つデザインやアイデアなどをミックスする試みは、我々にとっても非常に勉強になりましたね」。刺激と手応えをしっかりと得た様子が、中村さんの言葉からにじみ出ます。

 

第4回の③「KYOTO SOMÉ & ORI Project」《後編》はコチラ

 

 

【アトリエ・ブランマント情報】

L’Atelier Blancs Manteaux
38 rue des Blancs Manteaux 75004 Paris
Tel.  +(33) 01 43 48 67 83
http://abmparis.jp/

Open: 11:30 - 19:00  (日曜のみ13:00 -)、月曜定休