日本語 | English | 简体中文 | 繁體中文

チョコレートで感じる日本の香り 《第四回》 明治ザ・チョコレート (その1)メキシコホワイトカカオ

2018.01.20

1_Meiji_mexico-white1
「明治ザ・チョコレートメキシコホワイトカカオダーク」(上)と「明治ザ・チョコレートメキシコホワイトカカオミルク」(下)

治ザ・チョコレート」シリーズから、メキシコ産 “ホワイトカカオ”を使った〈ダーク〉と〈ミルク〉の2種類が数量限定・期間限定で登場する。このシリーズはプレミアムな原料を使用してカカオの特徴が際立ったチョコレートを提案する「明治スペシャリティチョコレート」を代表するブランドで、販売累計4千万個を突破したヒット商品でもある。昨年末にはフランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」のアワーズを受賞した。板チョコレート部門で日本企業が受賞を果たすのは史上初のことだ。

明治の研究者でカカオクリエイターである宇都宮洋之さんに、稀少な“ホワイトカカオ”を見せてもらった。実から取り出したばかりの“ホワイトカカオ”の生豆の断面は、その名の通り美しい乳白色をしており、その豆から作ったチョコレートの味は苦みや渋みがかなり少ない。

2_Meiji_cacao-white 3_Meiji_cacao 
写真1枚目:ホワイトカカオの生豆の断面
写真2枚目:通常のカカオの生豆の断面

カオ豆は色の濃淡はあるものの紫がかった色をしている品種がほとんどなので、交配によって紫色の豆になりやすい。そのため自然に任せておくと “ホワイトカカオ”はますます幻になってしまう。そうでなくともカカオの生産性を追求して品種改良をした種の繁殖力があまりにも強力過ぎて、何千年にも渡って細々と種を繋いできた高品質のカカオ豆の存続が危ぶまれているという現状がある。ホワイトチョコレートとの区別がつきにくいかもしれないが、“ホワイトカカオ”は生豆自体が白いのに対して、ホワイトチョコレートはカカオバター、砂糖、ミルクという白い素材を軸としている。

チョコレートの原料となるカカオ豆は、大航海時代に原産地の中南米からヨーロッパに運び込まれた。カカオにも16世紀からヨーロッパの王侯貴族の間で知られたプレミアムな豆がある。メキシコ南部の大西洋岸に面したチアパス州ソコヌスコに育つ最高品種だ。長い間スペイン王室が独占していたこともあり、ヨーロッパのチョコレート愛好家や食文化研究家にとっては、このカカオ豆で作られたチョコレートに対する思い入れは特別なものがある。


5世紀前にヨーロッパでソコヌスコがブランドカカオ豆として名を馳せていた時代にはこの一帯には“ホワイトカカオ”種が群生していたのかもしれないが、今ではこの地域の“ホワイトカカオ”だけを使ってチョコレートを作るということ自体かなり難しい。そこで明治では種の保存と安定生産を目指して、“ホワイトカカオ”だけを試験農場で選定して専用のカカオ農園にて隔離して栽培するというプロジェクトに取り組み始めたのだ。ここ数年“ホワイトカカオ”については遺伝子レベルから研究されるようになり、私も文献を調べていたところだったので、日本の企業があえて歴史的背景のある土地を選んだことに仰天した。

 年前から使われるようになった “BEAN TO BAR”とは、カカオ豆から板チョコレートを作ることだが、明治の場合は現地の農園でカカオの苗木を育てるところからチョコレートにするまで一貫して手がける“FARM TO BAR”を実践していることになる。プレミアムなカカオ豆が、21世紀になって日本人の研究者たちの情熱によって蘇ることになったことは日本人としてなんと誇るべきことだろう。

4_Meiji_mexico-white2 
(写真左)「明治ザ・チョコレートメキシコホワイトカカオダーク」
カカオ分70%の高カカオのダークチョコレートだが “ホワイトカカオ”を使っているためかかなりマイルドでナッツのようなクリーミーさ。ほのかに柑橘のようなやわらかな酸味がある
(写真右)「明治ザ・チョコレートメキシコホワイトカカオミルク」
カカオ分63%のダークミルクチョコレート。一見すると〈ダーク〉とあまり大差がないように見えるが、口の中でコクのある上品でミルキーな味わいがカカオの香りと共に広がる

治の大阪工場長で農学博士の古谷野哲夫さんによれば、20年前からカカオ豆の産地を訪ね歩いていたものの、社内で本格的にカカオ豆に取り組むきっかけとなったのは、2000年に発売になった「プレシャスカカオ」のプロジェクトだったという。約50種類のカカオを取り寄せて2年の歳月をかけて品種の研究を重ねたそうだ。研究者としての経験と直感でカカオの品種と発酵法でより高い品質のチョコレートを作れることを確信して、2006年には社内の数人の研究者が中心となってカカオプロジェクトを立ちあげた。農業指導マニュアルを作成するために、1ヶ月交代で日本とベネズエラを往復して研究に必要なラボなどは自分たちで工夫して現地でゼロから作った。さらに首都カラカスから足を延ばし、カカオの産地にあるホテルを中継地点にして模範となる50軒ほどの農家を訪問。カカオ栽培から発酵・乾燥までを調査をしては、カラカスの自家製ラボに戻ってサンプリングするという気の遠くなるような地道な作業を繰り返し、2年後にはついに明治独自の農業指導要項を完成させた。翌年には発酵法を始めとする明治の農業方法をわかりやすいマンガのカレンダーにすることで、模範農家を中心としてさらにピラミッド式に別の農家へと広めることに成功した。こうして農業指導や発酵箱を配布するなど現地の農家を支援しながら、自分たちが求める理想のカカオ豆を安定的に供給してもらうというサスティナブルなシステムを創りあげたのだった。ちなみに前出の宇都宮さんもこのカカオプロジェクトに関わっていた研究者のひとりだ。

カカオ農家支援活動は「メイジ・カカオ・サポート」として、今もベネズエラ・ボリバル共和国を始めとするカカオ産出国で続けられている。こうした独自の活動に加えNPO「WCF(世界カカオ財団)」に加盟して、ガーナを含む西アフリカ諸国の農家も援助しているという。「カカオ農園に初めて視察に行ったとき、弊社のチョコレートがこうして出来あがっていることを目のあたりにして衝撃を受けました」と明治の菓子マーケティング部の佐藤政宏さんは振り返る。社内の研究者の間ではあたりまえのことであっても、別の部署ではまったく知らない世界だったという。社内の人間が把握していないことをお客様には伝えられないと、社内からカカオへの情熱を広げていこうと尽力している立役者でもある。


佐藤さんにお誘いただき、私は「メイジ・カカオ・サポート」を実践しているベトナムの明治デモンストレーションファームを視察させてもらうことになった。

第七回:明治ザ・チョコレート(その2)メイジ・デモンストレーション・ファーム》に続く

 

text © Mika Ogura 2018

 

【プロフィール】

小椋三嘉(おぐら・みか) エッセイスト、食文化研究家

十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。

 

【商品情報】

●明治ザ・チョコレートメキシコホワイトカカオダーク

5_蝠・刀_Meiji_MexicoWhite_Dark

3枚入り(50g)
価格:1,620円(税込)

取扱場所:

・サロン・デュ・ショコラ東京(1月20日~2月28日)
・新宿伊勢丹店(1月31日~2月14日)
・日本橋三越本店(1月31日~2月14日)
・横浜タカシマヤ(1月26日~2月14日)
・東急百貨店 渋谷駅・東横店(2月1日~14日)
・伊勢丹浦和店(2月7日~15日)
・ジェイアール名古屋タカシマヤ店(1月19日~2月14日)
・阪急うめだ本店(1月24日~2月14日)
・丸井今井札幌本店(1月30日~2月14日)
・岩田屋三越(2月7日~14日)

 

●メキシコホワイトカカオ ミルク

6_蝠・刀_Meiji_MexicoWhite_Milk

3枚入り(50g)
価格:1,620円(税込)
※サロン・デュ・ショコラ東京にて限定販売。商品は売り切れ次第終了。