新型コロナウイルスの感染予防・拡散防止のため、開幕を延期していた特別展「きもの KIMONO」 が、東京国立博物館平成館 で6月30日から開催される運びとなった。世界最大のきものコレクションを誇る当館で、47年振りの染織展となる。信長や秀吉、篤姫をはじめとする歴史上の人物の衣裳や、きものを描いた絵画、現代デザイナーが手がけたきものまで、国内外から200点以上の作品が集結。鎌倉時代から現代まで、きものの変遷を総覧する、かつてない規模で展開するきものの歴史絵巻は必見だ。


左:重要文化財 縫箔 白練緯地四季草花四替模様
安土桃山時代・16世紀、京都国立博物館蔵
右:国宝 婦女遊楽図屛風(松浦屛風)
江戸時代・17世紀、奈良・大和文華館蔵
1章「モードの誕生」では室町時代まで遡り、染や刺繍、金銀の摺箔で彩られた安土桃山時代の小袖や江戸時代初期にかけて描かれた女性の肖像画、屏風を展示。当時の華やかな装いの世界を再現する。


見返り美人図 菱川師宣筆
江戸時代・17世紀、東京国立博物館蔵
京と江戸が流行の発信地となった江戸時代。2章「京モード 江戸モード」では、美人画がファッションに与えた影響や、この時代に生まれた「粋」の美学に迫る。当時、流行した描絵が施された小袖の中でも完全な形で保存されている尾形光琳の「冬木小袖」は本展の見どころのひとつだ。


小袖 白綾地秋草模様 尾形光琳筆
江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
3章「男の美学」では、戦国武将の陣羽織や若衆の華やかな振袖、勇壮な模様の火消半纏などを象牙や蒔絵などで装飾した小物と共に紹介する。時代や身分に関わらず、意匠を凝らした装いで自らを誇示する共通点が興味深い。


陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様 織田信長所用
安土桃山時代・16世紀、東京国立博物館蔵


TAROきもの 岡本太郎原案
昭和49年頃(1974頃)、東京・岡本太郎記念館蔵、撮影:堤勝雄
4章「モダニズムきもの」では文明開化が生み出した西欧風模様のきものを展示。また銘仙が登場し、華やかなきものが庶民の日常着として広がった様子を伝える。さらに日常着からアートへと多様に発展した数々のきものを5章「KIMONOの現在」で紹介する。時代をこえて日本独自の美意識を体現してきたきもの。その変遷から、日本文化の過去と現在、そして未来を見つめなおしてみたい。
◆特別展「きもの KIMONO」
2020年4月14日(火)~6月7日(日)
新会期:2020年6月30日(火)〜2020年8月23日(日)
会期中、一部の展示作品の入れ替えあり。
混雑緩和のため、本展では事前予約チケット制(日時指定制)を導入。入場にあたってはオンラインでの「日時指定券」の予約が必要となる。
東京都台東区上野公園13-9
東京国立博物館 平成館
https://www.tnm.jp/
※展示作品および展示期間、イベント内容、開催時間等、詳細情報は下記公式サイトより確認を。
公式サイト
https://kimonoten2020.exhibit.jp/
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