20世紀美術のコレクションが充実していることで知られるDIC川村記念美術館。そのコレクションと現代作家のコラボレーションによる「ふたつのまどか―コレクション×5人の作家たち」が開館30周年記念展として開催中だ。新型コロナウイルスの感染予防・拡散防止のため、3月の開幕は延期に。しかし6月16日にオープンし、11月29日まで期間延長する運びとなった。
本展のキーワードは“出会い”。その源泉はエントランスホールの天井照明やステンドグラスなど、「重なる二つの円」のデザインモチーフに由来しているという。円には「円か(丸いさま、穏やかなさま)」の意味もある。そこには初代館長・川村勝巳と建築家・海老原一郎の友情の絆、そして鑑賞者と作品が出会う場という意味が込められているのだ。本展はこのモチーフにちなんだタイトルどおり、現在第一線で活躍する5名の作家とコレクション作品との出会いの場となる。


さわひらき(1977- ) × サイ・トゥオンブリー(1928-2011)の出会い
左:さわひらき《Souvenir IV》2012年
右:サイ・トゥオンブリー《無題》1968年 DIC川村記念美術館 © Cy Twombly Foundation
さわひらき、杉戸洋、野口里佳、福田尚代、渡辺信子の5人の現代作家が、それぞれ DIC川村記念美術館のコレクションから、ひとりのアーティストを選び、“出会う”。そして自作と合わせて新たな作品を創作するのだ。この5名の作家によって美術館のコレクションが読み解かれ、全く異なる表現方法や異素材を扱う作家達の織り成すコラボレーションが一つの空間に展開する。そこで鑑賞できるのは、時代を越えた繋がりや響き合いから生まれた、2作家の対話が作り出すエネルギーが昇華したインスタレーションである。会期中に開催される出品作家たちによるトークイベントに参加するのも貴重な体験になる。


渡辺信子(1948- ) × エルズワース・ケリー(1923-2015)の出会い
左:渡辺信子《White and Red》2017年 Arario Gallery 《Dark olive green and White -Corner piece》2017年 作家蔵photo credit: Arario Gallery, Courtesy of Arario Gallery, Seoul
右:エルズワース・ケリー《ブラック・カーヴ》1994年 DIC川村記念美術館 © Ellsworth Kelly Foundation
千葉県佐倉市に位置するDIC 川村記念美術館は、「作品」「建築」「自然」の三要素が調和し、四季を通じて気持ち良く散策ができる約3万坪の庭園が広がっている。時代を越えた新しいアートとともに、在来植物を中心とした庭園に訪れた春を見つけに出かけてみたい。


DIC川村記念美術館の外観。建築デザインは海老原一郎。かつて里山であった名残を留め、庭園にはなだらかな起伏が広がっている。Photo: Manami Takahashi
◆「ふたつのまどか―コレクション×5人の作家たち」
2020年3月20日(金・祝)〜7月26日(日)
2020年6月16日(火)〜11月29日(日)
9:30〜17:00
月曜休館(祝日の場合は翌日)
チケットは事前予約制
一般1,300円、学生・65歳以上1,100円、小中学生・高校生600円
※イベント内容、開催時間等、詳細情報は公式サイトより確認を。
千葉県佐倉市坂戸 631
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