京都・細見美術館にて2021年1月5日(火)から4月11日(日)まで開催される特別展「日本の色-吉岡幸雄の仕事と蒐集―」は、2019年秋に急逝した染織史家、吉岡幸雄の足跡をたどる回顧展だ。
京都で江戸時代から続く染織工房に生まれた吉岡は、美術工芸に関する全集や豪華本などの出版社を設立し、美術展の企画も行うエディター兼アートディレクターの顔を持ちながら、生家「染司よしおか」5代目として、京都や奈良の寺社の祭祀で用いる装束なども数多く手掛けている。日本の伝統的な染織の技や色彩の妙をアートとしての視点で眺望しつつ、古来の染織遺品や美術工芸、古典文学などを研究して、再現や復興に力を注いだ。


『源氏物語』蘇芳のかさねの袖部分に見る繊細なグラデーションは、古来の染色方法を研究し再現している。
今展では、吉岡の工房「染司よしおか」で手掛けた古来の染色法による伎楽装束、『源氏物語』などの古典文学に表現された色彩、衣装を復元した作品を展示する。さらに、吉岡とその父・常雄氏が蒐集した、正倉院裂、法隆寺裂などの古裂類、明治から昭和に活躍した染織史家・野村正治郎のコレクションなど貴重な染織遺品を見ることができる。


滋賀県大津の大名、赤星家に伝わっていた「古代印度更紗」(赤星家旧蔵)は、洋画家・児玉善三郎が保管していたものを、吉岡が入手した。


京都の古美術商であり、染織史家であった野村正治郎が蒐集した近世の染織品コレクションの中から「古裂帖」(野村コレクション)などを紹介する。
『源氏物語』蘇芳のかさねに見る繊細なグラデーション、澪標の絶妙な色合わせなど、吉岡幸雄の仕事を辿ることで、日本人が古くから持つ色彩に対する意識の高さ、きめ細やかな手仕事の技術を知ることができる。昭和から平成の時代、いにしえの色を再現することに力を注いだ吉岡の功績は、令和の時代にも受け継がれていく。
◆特別展「日本の色-吉岡幸雄の仕事と蒐集-」
会期:2021年1月5日(火)〜4月11日(日)
※前期 2021年1月5日(火)〜2月21日(日)、
後期 2021年2月23日(火)〜4月11日(日)
会場:細見美術館
京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合、翌日)
入館料:一般1,400円、学生1,100円
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