その圧倒的な美しさから日本彫刻の“最高傑作”と称される国宝「十一面観音菩薩立像」。東京国立博物館で開催中の特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ―三輪山信仰のみほとけ」にて、その姿が東京で初公開されている


国宝 十一面観音菩薩立像(部分) 奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺蔵
厳かな顔立ちや均整のとれた体つきなど、天平彫刻の名品とされる国宝「十一面観音菩薩立像」は、かつて大神神社の境内にあった寺に安置されていたが、明治元年の神仏分離令によって聖林寺に移された。


国宝 十一面観音菩薩立像 奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺蔵
十一の面であらゆる方向を見渡し、深い慈悲の心で人々を救う国宝「十一面観音菩薩立像」。会場ではその優雅な表情や均整のとれた体軀、姿勢、しぐさの美しさを360度さまざまな角度から観覧することができる。


国宝 地蔵菩薩立像(部分) 平安時代・9世紀 奈良・法隆寺蔵


(左)日光菩薩立像(部分) 平安時代・10~11世紀 奈良・正暦寺蔵 (右)月光菩薩立像(部分) 平安時代・10~11世紀 奈良・正暦寺蔵
このほか会場には大神神社の三ツ鳥居を再現し、三輪山信仰にも迫る。江戸時代までは神社に仏がまつられるのは珍しくなく、法隆寺の国宝「地蔵菩薩立像」、正暦寺「日光菩薩立像」、「月光菩薩立像」も大神神社にまつられていた。明治元年の神仏分離令で離ればなれになったこれらの仏像が、本展で約150年ぶりの再会を果たしているところも見所のひとつだ。


山ノ神遺跡出土品 奈良県桜井市 山ノ神遺跡出土 古墳時代・5~6世紀 東京国立博物館蔵
国宝「十一面観音菩薩立像」が奈良県外に出るのは今回が初めてのこと。この貴重な機会にその比類のない美しさを、みずからの目に留めてみてはいかがだろう。
◆特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ―三輪山信仰のみほとけ」
〈東京〉
会期:開催中~2021年9月12日(日)
会場:東京国立博物館 本館特別5室
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日
※ただし8月9日(振休)は開館
〈奈良〉
会期:2022年2月5日(土)~3月27日(日)
会場:奈良国立博物館 東新館
開館時間:9:30~17:00
※入館は閉館の30分前まで
※毎週土曜日は19:00まで開館
休館日:2月7日(月)、21日(月)、28日(月)、3月22日(火)
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