世界最古の長編小説といわれ、後世の文学や美術に多大な影響を与え、時代を超えて人々を惹きつけてきた「源氏物語」。山梨県立文学館では、多くの作家が挑んだ「源氏物語」の現代語訳を、その魅力とともに紹介する特設展「それぞれの源氏物語」を開催。


樋口一葉旧蔵書 北村季吟(きぎん)『湖月抄』(こげつしょう)
山梨県立文学館蔵
樋口一葉は、歌塾・萩の舎で「源氏物語」を講義し、「雨夜の品定め」などを得意とした。「源氏物語」をは じめとする王朝文学は、一葉の初期の小説のモチー フとなった。


谷崎潤一郎「奥書」原稿
『潤一郎訳源氏物語』巻二十六(1941年7月 中央公論社)収録
山梨県立文学館蔵
谷崎潤一郎は1935(昭和10)年9月に「源氏物語」現代語訳にとりかかり『潤一郎訳源氏物語』を刊行するが、時局の影響で削除や改変を強いられた。戦後、全面的に改稿し「新訳」「新々訳」として現代語訳を刊行した。


円地文子(えんちふみこ)「源氏物語」桐壺 原稿 個人蔵
円地文子は「源氏物語」現代語訳に5年近くかけて取り組み、 全10巻(1971年~1973年 新潮社)を刊行した。序文には「現代の読者に出来るだけ気難かしくない言葉で語りかけたい」とある。


林真理子『六条御息所 源氏がたり』 一、光の章・二、華の章・三、空の章
2010(平成22)年4月・2011年4月・2012年10月 小学館
装幀 木村祐治・金田一亜弥(木村デザイン事務所) 山梨県立文学館蔵
林真理子は登場人物のひとりである六条御息所を語り手に、「源氏物語」の章立てを大胆に変えて物語を再構築。『六条御息所 源氏がたり』(小学館)として 大⻑編恋愛小説を現代によみがえらせた。また、「STORY OF UJI」として「宇治十帖」を新解釈で読みかえ、衝撃的な結末を描いた。
このほかにも、生涯において三度の「源氏物語」現代語訳を試みた与謝野晶子の「源氏物語」朝顔 草稿や、芥川龍之介 「文藝的な、余りに文藝的な」「三十七 古典」草稿、田辺聖子『新源氏物語』、瀬戶内寂聴『源氏物語』なども展示。貴重な資料が数多く集まるこの機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
◆特設展「それぞれの源氏物語」
【会場】山梨県立文学館 展示室C(山梨県甲府市貢川1-5-35)
【会期】開催中~2023年12月17日(日)
【休館日】月曜日(11月20日は開館)、11月21日(火)
【開館時間】9:00~17:00(入室は16:30まで)
【観覧料】一般 330円、大学生 220円
※高校生以下の児童・生徒、65歳以上の方は無料(健康保険証等持参)
※障害者手帳をご持参の方、およびその介護をされる方は無料
※11月20日(月)県⺠の日はどなたでも無料
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