国立西洋美術館では、文字と絵が一体となった中世の彩飾芸術の美を堪能できる「内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙」を開催中。会期は2024年8月25日(日)まで。
ジョヴァンニ・ディ・アントニオ・ダ・ボローニャ彩飾《典礼用詩編集零葉》イタリア、ボローニャ 1425-50年 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション 国立西洋美術館蔵
印刷技術のなかった中世ヨーロッパにおいて、写本は人々の信仰を支え、知の伝達を担う主要な媒体であった。羊や子牛などの動物の皮を薄く加工して作った紙に人の手でテキストを筆写し、膨大な時間と労力をかけて制作される写本は、ときに非常な贅沢品となり、なかには華やかな彩飾が施され、一級の美術作品へと昇華を遂げている例も散見される。
《祈祷書零葉》ドイツ南部、アウクスブルクもしくはニュルンベルク(?) 1524年頃 彩色、インク、金、銀/獣皮紙 内藤コレクション 国立西洋美術館蔵
本展は、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏より寄贈された写本零葉(零葉:本から切り離された一枚一枚の紙葉)を中心とする内藤コレクションを中心に、国内の大学図書館の所蔵品も若干数加えた約150点を紹介。
《聖書零葉》イングランド 1225-35年頃 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション 国立西洋美術館蔵
展示は9章構成となっており、内藤コレクションを代表する 《聖書零葉》から、華やかな装飾を伴う聖務日課のための写本、礼拝で用いられ、中世において最も多くの写本が制作されたことから「中世のベストセラー」とも称される時祷書、さらに内藤コレクションの中で若干数ながら存在する世俗写本など、中世に広く普及した写本の役割や、鮮やかな色彩と遊び心あふれる装飾の特徴を見ることができる。
リュソンの画家彩飾《時祷書零葉》フランス、パリ 1405-10年頃 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション 国立西洋美術館蔵
「内藤コレクション」の作品の大多数が一堂に展示される、国立西洋美術館初の大規模写本展。書物の機能と結びつき、文字と絵が一体となった彩飾芸術の美「中世の小宇宙」へ、ぜひ足を踏み入れてみてはいかがだろうか。
◆「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」
【会期】開催中~2024年8月25日(日)
【会場】国立西洋美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園 7-7)
【開館時間】9:30~17:30(金・土曜日は 20:00 まで)※入館は閉館の30分前まで
【休館日】月曜日、7月16日(火)
ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、8月13日(火)は開館
※開館時間・休館日の最新情報は国立西洋美術館公式サイトトップページ「お知らせ」をご確認ください。
【観覧料】一般1,700円、大学生1,300円、高校生1,000円
※中学生以下、心身に障害のある方及び付添者1名は無料。入館の際に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳をご提示ください。
※国立美術館キャンパスメンバーズ加盟校の学生・教職員は本展を学生1,100円、教職員1,500円でご覧いただけます。学生証または教職員証をご提示のうえ、当館券売窓口にてお求めください。
※観覧当日に限り本展の観覧券で常設展もご覧いただけます。
※8月3日(土)は「おしゃべりOK『にぎやかサタデー』」を開催し、常設展・企画展ともに無料観覧日となります。
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